二葉富良野 〜フタバフラノ〜



2月6日


「プロデューサー」


 事務所の廊下を歩いていると、ベンチに座り僕が以前渡していた資料を眺めていた二葉富良野さんに声を掛けられた。


「富良野さん、お疲れ様」


「ん~、お疲れ様~。ちょっとい~い?」


 富良野さんはそう言うと資料を開いてあるページを僕に見せて来た。


「『双葉富良野』またこの誤植か」


「そゆこと~」


 富良野さんはしょっちゅう名字を誤植されている。僕としてはプロデューサーとして全て隅々まで確認してあげたいのだが、今の僕にはそこまで労力を割いてあげられる余裕がないので申し訳ないとは思いながらも富良野さん自身に雑誌の前段階となっている資料などに目を通して貰い誤植を見つけた際には今日のように僕に伝えてもらうようにしてもらっている。


「目は通して直しを入れておいたから、後のことはよろしく~」


「わかった。富良野さん、この後の仕事も頑張って」


「はいは~い」


 次の仕事へ向かう富良野さんを見送った僕はすぐさま渡された資料を作成した出版社に連絡を取って誤植の修正をお願いした。

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