笹原凛 〜ササハラリン〜

1月18日


 ここ数日、誰が持ってきたのかコタツの上に大量のミカンが置かれているため、アイドルたちが代わる代わるコタツに入ってミカンを頬張る姿が見られていた。


「今日も寒いね。そう思うでしょ? プロデューサー」


「寒いなら、どうしてアイスなんて食べているんだ」


 笹原凛ちゃんはコタツに両足を入れ、暖を取りながらコタツの上に置いてあるミカンには目もくれず、カップアイスを食べていた。


「温かい部屋で食べるアイスは普通に食べるアイスよりも美味しい。これ、道民にとっては常識だから」


「そうなのか……?」


 僕の知り合いに何人か北海道出身もしくは北海道在住でたまに連絡を取り合う友人がいるのだが、そんな話を聞くのは初めてだった。


「プロデューサー、疑っているならプロデューサーもどう? 冷凍庫にもう1つ私のアイスが入っているはずだから食べていいよ」


「疑ってはいないけど、お言葉に甘えて貰うよ」


 冷凍庫から凛の名前が書かれたカップアイスを取り出した僕は、アイスをひとすくいして恐る恐る口へと運んだ。


「ん!」


 はっきり言って驚いた。口に広がったアイスは凛が事務所近くのコンビニで買って来たもののはずなのにもかかわらず、僕が今まで食べて来たアイスとは比べ物にならないほど美味しく感じ取れた。

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