積木夏輝 〜ツミキナツキ〜

「航大!」


 仕事が終わり、寮へ帰る途中の道を歩いていると同級生で同じプロダクションのアイドルである野口航大の後姿を見つけて声を掛けた。


「ん? おっ! 夏輝じゃないッスか。仕事終わったんスか?」


「今日は音楽番組の収録だけだったんだけど、他の番組に提出するアンケートを事務所で書いていたら意外と手間取っちまってな」


「アンケートッスか。あれってぶっちゃけ面倒ッスよね」


「自分のプロフィールなんて逐一覚えてないからな」


 まだ誕生日程度ならいくらでも書くが、尊敬する人などまで書かなくてはいけないようなものは少し億劫だ。あと、決められたテーマに沿った話を書かなくてはいけないアンケートも苦手だ。


「それより夏輝、腹減って無いッスか? 今から新しく出来たレストランに行くつもりだったんスけど、一緒にどうッスか?」


「お腹は空いているし、行ってみるか」


 まだ寮の門限まではもう少し時間があるが、寮の食堂はもう夕食の時間が過ぎてしまっていたから丁度良かった。


「まぁ、俺も航大を食事に誘うつもりで呼び止めたんだけどな」

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