　自分ではあまり良く思ってはいないのだけれど、私は実際の年齢よりも大人びて見えると言われることが多い。

　それが理由で私は自分よりも年上設定の役を演じることが多く、今年は映画だけで３回。ドラマも含めると１０回以上は自分よりも年上の役を演じたし、今も演じている。

　と言っても今回は本当の年齢との違いが３歳しかない２１歳で、学級崩壊した小学６年生のクラスを受け持つことになった教育実習生の役と今までに比べればまだましな方だった。

「菫先生～しつも～ん」

　撮影中は共演している子役の子供たちに「オバサン」呼ばわりされたり、演技とはいえ実際に消しゴムを投げつけられたりと偽りの気持ちではあるとはいえ辛いものがあるが、カメラが止まるとその子たちは私を心配してくれるだけではなく、撮影中とは違い私を先生として頼ってくれて学校の宿題で分からないところがあると私に質問をしに来てくれた。そう過ごす日々が私はとても楽しかった。

　ただ、そんな日々は長く続くことは無くこの現場での撮影はそろそろ終わりに近づいて来ていた。