司馬奈織 〜シバナオリ〜

「時間のようだ。奈織ちゃん、今日は来てくれてありがとう。また遊びに来てくれ」


「はい、是非」


 同じプロジェクトに所属する妖真暮先輩がパーソナリティーを務める『アヤシイラジオ』にゲストとして出演させてもらったわたし、司馬奈織は先週のゲストで年下の先輩である海藤涼花ちゃんからの


「緊張しすぎて噛まないように」


 というアドバイスを常に意識して、一度も噛むことなく無事に放送を終わらせた。


「お疲れ様だね」


「はい、お疲れ様でした」


「ふふっ」


 真暮先輩は突然笑い出した。


「い、いや、気にしないでくれ」


「はい、いえ、はいじゃなくて、どうしたんですか? いきなり」


 真暮先輩は再び


「ふふっ」


 と笑った。


「ラジオでは緊張していなかったみたいだけど、ボクと話す時は緊張して『はい』を付けて話し始めるのが面白くてね」


「はい、すいません」


「ふふっ」


 真暮先輩はしばらくの間ずっと口を押えて笑っていた。

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