朽木野雪葉 〜クチキノユキハ〜

 和水プロダクションに所属する13歳のアイドル乙町十々ちゃんが特別審査員を務めるオーディション番組『今日のシンデレラ』に私、朽木野雪葉は予選審査を勝ち残りテレビで1時間枠の40分以上を占める最終審査の出場権を得ました。


そして、


「ついに結果発表の時間になりました。500人以上の応募の中から第1回『今日のシンデレラ』の称号を手にして夢のアイドルへの道を一歩踏み出すのは誰なのでしょうか?」


 するとステージが暗くなり、その中で3つのスポットライトがそれぞれ異なる速度で最終審査に残った私たち5人を1人ずつ照らしていきました。


「発表します」


 十々ちゃんがそう言うとスポットライトが消えて私たちが唯一見える光は非常口の緑色の光だけでした。


「第1回『今日のシンデレラ』に選ばれたのは、エントリーナンバー483番 朽木野雪葉さんです。おめでとうございます」


 3つのスポットライトが私から見て右、左、真ん中の順で四捨五入をしたら30歳になってしまう私を眩く照らし、観客席からは今までの人生で聞いた事が無いほど大きな拍手が鳴り響いていました。

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