和水プロの日常

鵺野楓太 〜ヌエノフウタ〜

「真志乃の真っしろラジオ～」

　和水プロダクションがインターネット上に開設した動画配信チャンネル『ナゴミチャンネル』で真志乃がパーソナリティを務めるラジオ番組が始まった。

「真っしろ～　真志乃です。先週お伝えした通り今週はゲストに来て頂いています。どうぞ」

「真っしろ～　白さは数年前に失ったいい大人。鵺野楓太です」

　自虐的に挨拶した鵺野楓太は自分に向けられたカメラに軽く手を振った。

「最初のコーナーは『ふつおた！』これは言うまでも無く普通のお便りを読むコーナーです。1通目は真っしろネーム『ハイハイテンション』さんからです」

「どんな良いことがあったのか分からないけど一回落ち着こう」

「『志乃ちゃん、ゲストの楓太さん真っしろ～』はい、真っしろ～」

「真っしろ～」

「『楓太さんに質問です。楓太さんの名字である鵺野は本名なのでしょうか？　私の友人は芸名説を強く唱えているのですが、私は同じ事務所の猪鹿野蝶矢さんが本名だと聞いた事があるので楓太さんも本名だと思っています。もしかしたら答えにくい質問かもしれませんが答えて頂けたら嬉しいです』だそうです」

「名前に反して冷静な質問に驚かされたけど、それは置いておくとして質問に答えると『ハイハイテンション』さんの思っている通り本名だ。珍しい名字だから芸名だと思われても仕方ないけど」

「うちの事務所って『ハイハイテンション』さんも言っていた猪鹿野さんもそうだけど珍しい名字や名前のアイドルが多いけどみんな本名らしいですよ」

　志乃は台本を真正面に持ち、棒読みでそう言った。

「という事で『ハイハイテンション』さんには番組特製ステッカーに私と楓太さんのサインを書いてお送りします」

「楽しみに待っていてください」

「では、2通目です」