大久保桂馬 〜オオクボケイマ〜

日曜日、それは休日でありながら平日の前日という事もあり、時間が経つにつれ憂鬱になる魔の曜日である。


「あ〜つらっ」


「何ですか? お兄……プロデューサーの新手の嫌がらせの手伝いで来たんですか?」


プロジェクトルームの隅に簡易的かつ無許可で建設された小部屋の前で体育座りをしながら日曜日の午後特有の負のオーラを発する大久保桂馬に小部屋の主である鷲尾紗香は嫌そうな声でそう言った。


「お前は良いよな、引きこもってても怒られないし」


「いやいや、うちだって結構怒られてますよ。特にプロデューサーに」


沙香は桂馬に心を開いたのか小部屋の扉を少しだけ開いて顔を覗かせた。


「真面目って大変ですね」


「代わって」


「お断りします」


折角心を開きかけたのにもかかわらず桂馬の言葉で嫌な予感がしたのか小部屋の扉をすぐさま閉めてしまった。


「桂馬さんの事はよく知りませんが、真面目過ぎだと思います。たまには自分の素を表に出して話をしたら良いと思いますよ」


「アドバイスありがとう。お前は本当にプロデューサーに似ているな」


沙香は桂馬の言葉の意味が理解出来なかったが、感謝の言葉だけはしっかりと受け取っておいた。

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