結城森夏 〜ユウキシンカ〜

「ぐぉはっ⁉︎」


本来なら地に足をつけているはずの人間、川野流は事務所の廊下を飛んでいた。


「森夏ぁ‼︎ いきなり何しやがる」


流は何事も無かったかの様に地に足をつけ、廊下を飛ぶ原因となった結城森夏に向けてそう叫んだ。


「あ、当たり前じゃぁないですか‼︎ 人の頭をいきなり触ってきたんですから」


森夏はそう言うと幼い頃からボクシングで鍛え上げてきた拳を胸の前に構えてそう言った。


「俺は森夏の髪にゴミが付いていたからほろってやっただけだ。それにボクシング選手の拳は危険なんだから気をつけろよ」


「大丈夫。急に頭を触って来る人にしかやらないから」


「それ、全然大丈夫じゃないだろ。思いつく限りでも俺のプロジェクトに10人はいるぞ」


「だから、大丈夫だって。あっ! もうレッスン始まるから行くね」


森夏はそう言うと流の前から立ち去った。


「森夏の無差別パンチは何とかしないとな」


そう言った流の足元には運悪く飛んできた流が当たったさいちゃんこと烏居彩香が倒れていた。

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