作家死亡の女/Woman of writer death

長束直哉

紫桐兄妹探偵シリーズ【spin-off】

作家死亡の女:#1 PUBLIC APPEAL/公募

 ――第1回(20◯◯年度)推理天国短編賞募集――


 募集内容:広義のミステリ小説を募集。自作未発表作品に限る。

 応募規定:400字詰め原稿用紙換算で50枚以内。

 ワープロ原稿はA4半紙に40字×30~40行で縦書きに印字。

 表紙に題名、氏名(筆名は本名も)、年齢、住所、電話番号を明記。

 400字詰め換算枚数を明記。

 原稿は折らずに右上肩をクリップでとめ、通しノンブルを入れる。

 応募資格:不問

 賞  金:推理天国短編賞一編=50万円/記念品

 締め切り:3月末日(当日消印有効)

 主  催:遊心社

 参  考:受賞作品は主催者より刊行。

 稿  料:受賞作の版権は主催者に帰属。


 田尾たおカスミは、『推理天国短編賞』の応募要項を見ながら思いを巡らせていた。


      ◇


 密室の殺人――

 出入口の無い完全に閉じられた密室の中で、人が死んでいる。

 さて、犯人はどのようにして出入りしたのか?

 どのようにして、犯行を行ったのか?

 また何故、密室にしなければならなかったのか?


      ◇


 密室といえば、密室の巨匠ディクスン・カーが有名ね。

 彼の長編『三つの棺』(一九三五)第十七章での『密室の講義』――今では少し古いところもあるけど、密室推理小説を書く上で欠かせないバイブルだわ。


 日本でも、江戸川乱歩の『探偵小説のトリック』や『類別トリック集成』なども有名だけれど、やっぱり原点は『カー』よね。

 謂わば『密室界』のレジェンドってところかな。


密室小説には、エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』に、コナン・ドイルの『まだらの紐』。

 それに、イズレイル・ザングウィルの『ビッグ・ボウの殺人』やガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』とか――数え切れないくらいたくさんの作品があって、それぞれ独自の方法で密室を完成させている。


 ミステリ界では、今や、密室トリックは出尽くしたと言われて久しいけれど、本当にそうなのかなぁ……?


 パターンとしては、さほど変化は望めないかも知れないけれど、時代の進歩と共に、昔には無かった物が、現在では数多く開発されているし、新しい密室スペースも出来ているし、それらを使った新しい密室トリックが考えられそうに思うのだけれど……。


 そこは出尽くしたと思われてるほうが、新進作家の私にしたら都合がいいわ。

 まあ、そこが付け目だったりして……。


 出尽くしたと思われている業界に意外性と奇抜さ、それにも増して知性と美貌を兼ね備えたこの期待の新鋭と自負しているこの私が、敢えてこの難題に挑戦!


 見ておれ、金田一君! いや、コナン君よ!


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