第313話 お爺ちゃんとお出かけしよう【おやつの時間】

玄関間に着くと、リーヴスラシルを扉の前に、一人で、立ってもらう。お姉様と僕は、一歩下がった後ろ辺りに、待機している。リーヴスラシル君が、扉をノックしたタイミングで、僕とウィンお姉様が、扉に向かって声をかけた――。

「「お爺ちゃん」」

 扉が、勢い良く開く――。

「ウィン、マリアよ、良くキタァァァ」

 がばっと抱き着く、勿論、抱きつかれているのが、リーヴスラシルだったりする。

「ダイトカイト殿、痛いので、腕を話してもらえないだろうか?」

「ぇ、とリーヴスじゃないか、あれ、孫達は?」

 お爺ちゃんは、リーヴスラシルから手を離して、周りをキョロキョロと見始める――。

「「お爺ちゃん、ここだよ」」

 やっぱり、見ないで、抱き着いてきたね、お姉様の言った通りだった。

「ダイトカイトお爺ちゃん、誕生日の時は、ありがとうございました」

「いつも、ありがとうございます」とお姉様もお礼を言う。

「なんか、照れくさいのぉ」

 お爺ちゃんが、凄く顔が赤くて、照れている。

「悪いな、他の者達は、ちょっと用事で、儂しかいなくて、すまない」

「おやつの頃には、誰かしら、戻ってくるでしょ?」

「そうじゃな、戻ってくるはずじゃ」

「その頃に、僕が、おやつ作りますね」

「いつも、すまないね」

「それは、言わない約束だよ」

「マリアとダイトカイトお爺ちゃん、何してるの?」

「うーん、漫才?」

「…………」

「お姉様、無言に、ならないで、と、言えばあれだ」

「さっきの正解したから、おやつ一品多めにあげるね、お姉様」

「あぁ、さっきのね」

「マリア、有難う」

「姫様、山に行ってきてもいいですか?」

「いいよ、何か美味しそうな材料あったら宜しくね」

「仰せのままに……」

「それまでの時間、ご本読んでてもいいですか?」

「私は、お爺ちゃんに、武術習っている」

「ウィンは、技術を学ぶの好きじゃな」

「マリアは、知識を伸ばすのじゃな」

「時間になったら、おやつ作っておくから、終わったら声かけるね」

「分かった」

 そして、お姉様とダイトカイトお爺ちゃんは、外の広場へと足を運んだ、僕は、二階にある書庫に、調べたい事があったので、本を見に行く。

「前回着た時に、この辺にあったと思ったんだけどなー」

「あった、これだ」

「素材についての本だね」

「えっと、このページの内容を書きだして、それをここにしまって……」

 書き出し作業をしていると、三時の時間になった事に気付く――。

「そろそろ、一階に下りて、おやつでも作りますか」

「何を、作ろうかな」

「杏仁豆腐と、プリン、お団子で、いいかな?」

「材料は、なぞのチャックから取り出す(ごそごそ)」

「姫様、只今、戻りました」

「リーヴスラシル、おかえりなさい」

「何かあった?」

「林檎、桃、蜜柑が、ありました」

 結構な量だな、後で、干して、ドライフルーツにしようと――。

「それ材料にするから頂戴」

「あと、これ、飲み物、ゆっくり休んでいく?」

「いえ、これ飲んだら、ウィン殿の稽古を参加してきたいと思ってます」

「なら、おやつ出来たら呼びに行くね」

「解りました」

 ジュースを飲んだ、リーヴスラシルは、外の稽古に、参加しに行った、やっぱり、戦いが好きな子だ。材料も入れて、魔法で、冷したり、焼き入れしたりして、完成に、近づいていく。

「よし、おやつ出来た」

 外に、出て……、お爺ちゃんの所に、向かった、ちょうどお姉様が、構えている所だった、近くに行って、その様子を見ている。前よりもきれがいい、動きをしている。丁度終わった所で、声をかける。

「おやつ出来たので、一息いれませんか?」

「マリア、食べる」

「僕は、食べれません」

「ここに、おやつ広げて、いいですか?」

「他の皆さんの分は、食卓に置いてあるので、おのおので、食べてくれるでしょうし」

「本日のおやつは、選べて楽しい、杏仁豆腐、プリン、団子になってます」

「お好きな物から、食べて下さい」

「飲み物は、麦茶を用意しております」

「ありがとう、マリア、楽しみだよ」

「良かったです」

 結局、他のお爺ちゃん達は、戻ってこれなかったので、先に、リーヴスラシル、ウィンお姉様とダイトカイトお爺ちゃんの四人で、おやつを食べる事になる。夕食には、帰ってきてくれるのだろうか……。

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