第283話 母方の知合いと種族の新規出会い【おまけ④【語り部】】

 姉様の研究所へとちょこちょこと案内されるようになり。


 三ヶ月過ぎる頃には、毎日のように、顔を出した。


 顔を出したと言っても姉様に抱っこされたままだが……


 揺り籠に乗せて、魔法式を手で描きながら姉様は、僕に説明していく。


 なぜ手で文字を書く行為になったかと言うと?


 僕自身が、言葉に限界がある事をよくわかっているためか、言える言葉で……


 手で書けば喋らなくても出来ると姉様に三ヶ月の間に、言ったことから始まった。


 姉様も初めは、びっくりしていたがだんだんと慣れていまでは、喋るなら手で動かしてと言わんばかりに、手を動かす。


 姉様の研究は、錬金術を使用した二重魔法を作ろうとしている。


 そもそも二重魔法と言っても錬金術は等価交換の世界と言えば解ると思うが……


 二重にすれば、交換も二倍以上になる訳なのだが、それをそこには無い物を有る物と認識させて何もない物から交換をすると言う高等魔術を研究している。


 現状で言えば、そんな事は、この世界には存在しない訳だから新しい魔術開発のような物らしい。


 そんな訳で、ここ三ヶ月は、それにあけくれる毎日だったりする。


 それから二か月過ぎた時に、僕はある事に気づき、姉様に言う。


 「姉様」


 「どうしたのユウキ?」


 等価交換で、ここ二ヶ月で疑問に思ったのですが、属性魔法を対価として使用してみては如何ですか?


 属性とは、世界から生まれた「物」に当てはまると思うのです。


 それを対価にする事で、等価交換すると言う理論は出来ないでしょうか?


 などと一生懸命手で、光魔法を使いながら言葉を描く。


 土と火を指で唱えて、火を強くするために、風魔法を入れて火山の溶岩を空中に作り出す。


 それと水属性で、不純物のない冷水を空中に作り錬金術を行う。


 そこには、金塊が六個ほどの山が出来ている。


 姉様に、これでいいのという目線をしながら手でもこれが属性対価だと思うだけど?


 などとやってのけると?


 姉様、固まった時間が少し長いが、僕を持ち上げて高い高いをして喜んでる。


 ユウキこれは、大発見よ!


 何がすごいて、原理を理解して、金にする。


 人間は、一度でもいいから錬金術で金を作る所からが初歩というけど元素が属性を元にでできるなんて、考え付かないわね。


 物理法則の考えを覆す物の考え方ね。


 姉様は、凄く興奮がとまらないみたいで、自分でも連想される魔法を組み合わせて実験し始める。


 そんな研究が四ヶ月続いた頃には、もう僕も二歳の誕生日に近づき始めていた。


 そして、その頃には、言葉もすらすらほどではないが、喋れるよになっているが……


 光魔法で作った鉛筆で、専用の紙も開発したのでそちらに書く方が慣れている。


 勿論手がきもあるが、風魔法を使って上手く筆を振るうように書いてるのがほとんどだったりする。


 あれ程喋れない間手で書いていたのだからなれるのも当たり前である。


 姉様質問なんですけど?


 ユウキ何か閃いたの?


 いえ、そうではなくて、何か他に良い方法が無いか考えてる所です。


 伝達も前より楽になりましたが、もう少し簡単な伝達方法を考えてみようと思ってます。


 今の状態だって、普通の魔法使いや魔導士からみて活気的天才の領域を越して凄い事してるのよユウキは、それでもさらに上を目指すのね。


 さすが、家の家系て事もあり考え方が違うわね。


 姉様には、たぶん気づかれていたかもしれませんが……


 母様が絵本の様に読んでいた本て、僕使えるて解ってます?


 たぶん少しならというか初歩か中級位は、いけると思ってるわね。


 今の状況みればね。


 実は、もうマスタしちゃってていま個人的には、オリジナルの方研究してまして。


 その方でアレンジ版の方法で、書き込みが出来ないかなと考えている所なんですよ?


 「えっとつまり・・・」


 六属性魔法・錬金術・時空魔法初級・中級・上級・オリジナルまで聞いて覚えちゃったて事?


 「はい」


 天才だと思ったけど?


 ユウキそれ大天才よその歳で、それだけ出来るて……


 母様達には、言ったの?


 言え、姉様だけなら問題ないかなとお口も堅い姉様ですし、研究事はあまり外にださないイメージもありますからそれを考えて、答えが出た感じです。


 「昔、本が開いていた時も!」


 「風魔法で、開いて数ページ読んでました」


 後は、図書館の本は、三分の二程もう読み終わってたり……


 禁断魔法のアレンジ五章までは、ありましたがこっそり十六章まで書き加えてあったりします。


 場所は、たぶん父様と母様は、知らない場所にあるので安心です。


 後は、姉様もあの図書部屋も全部のぞいて探検した事ないはずなので、禁断書は、ばれないと思ってます。


 て、今頃暴露してもて……


 姉様何故か凄く楽しい笑顔なんですけど?


 探しに行ったりしませんよね?


 「も、もちろんそんな事しないわよ!」


 姉様声が裏がえっていますよ?


 あ、でもたぶんみつからないように、細工もしてきてるので見つける気があるなら?


 応援はしますが、とめません――


 ちなみに、ユウキ十六章使うとどんな感じになるの?


 最大国の国が一夜で、緑に還ります。


 イメージで言えばエルフの深い森のようになる感じですね。


 治す魔法もありますが、唱えるのに十五年の年月をかけて唱え続けないといけないかもです。


 その中で、一番危険なのは?


 五章もさすが昔の人が作っただけあって凄い事になってますが、僕が八章でアレンジ版を創ったのが問題かもですね。


 取り敢えず唱えた自分以外の半径二十キロが錬金術の等価交換を混ぜてるので、金少々と賢者の石が出来るはずです。


 小規模版のを虫とネズミなどで実験した結果三十グラムの賢者の石と砂金が出来たので、理論的には問題ないと思いますが、使用は禁止した方がいいので、読む際に暗号を混ぜて作ってありますね。


 ま、賢者の粉での実験で何が作れるかは不明ですが、それを課題にして理論をくみましょう。


 二歳になるまえまでには、楽になる方法見つかるといいわね。


 それで研究を進めていきましょう。


 それじゃ~


 姉様僕このまま揺り籠で寝ますね。


 さすがに、疲れたので……


 「おやすみなさい姉様」


 「おやすみゆうき」


 姉の心の中では、神狼しんろうこの年で、まさか私以上なんて歳を重ねる度にどうなるのか楽しみだわ。


 ゆっくりと眠る弟をみて姉は、微笑みながら揺り籠を抱えて、自室へと戻る。


 母様と父様には、当分言えないけどユウキの行く末は、最高な物だと思いながら足は楽しげに進のだった。

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