第233話 絆と約束【魔王討伐【後編】】

 「先行は、お母様の方から動いた」


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 「右手が輝き、真っ赤な長剣が現れる―」そのまま一瞬にして間合いに飛び込み上から叩き切る様に、腕を下すと?


 「まず一本」と声が聞こえる――


 魔王の右腕が宙を舞う様に、左手に握られている―その動きは、途中までは、見えていたが一瞬瞼を閉じた瞬間には、目の前には、誰も居ない状態が続いたのだった。


 「お母様凄い!」


 お爺ちゃんの念話から聞こえてくる。


 「お爺ちゃんの目て凄いね、凄いスローモーションで動きが見えたよ!」


 「突き一回と斬るを二回するなんて、あの…一瞬で!」


 「え、三回攻撃しているて?」


 すると、魔王から声が聞こえる――


 「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


 左手で、腹の部分を抑えて、両足が切れて、それ以外が残る……。次でチェックメイトをさしているような様子に見える。


 「早く回復しなさいよ?」


 「お、お母様何を言っているの?」


 「魔王サタンは、六がつくと言われた不吉な数字だったと古代字典に載っているのを昔読んだ記憶があるから言わせてもらうけど?」


 「あと五回くらいトドメ刺さないと本当の身体には――届かない事くらい知っているのよ?」


 「フ、フハハハハァ~」


 「何だ知っている者が何人かいるのだな……」


 「お母様勉強になります!」


 「それとその古代字典何処で貸し出ししてるのか今度教えて下さい!」


 「マリア、戦いに集中しなさい!」


 「それと、後で纏めて聞くから質問は…だから集中してね」


 「はい、お母様……」


 「私ぐらいの歳の子に言われるマリアて、なんだか虐めにあってる子供みたいに見える……」


 「スノーちゃんは、基本的に、戦いの基礎などの躾をしてるだけだから普通じゃないのかの~」


 「お爺ちゃん? 聞いても良い?」


 「なんじゃ?」


 「躾と教えてどう違うの?」


 「娘に教えるのだから、躾じゃなくて、教えるが正解な気がして……」


 「どうしても聞きたくなってしまいました」


 「そうじゃな、教えが正解じゃな」


 「儂もぼけてきたのかのぉ~」


 「お爺ちゃんの今の姿で、言われても説得力が全くないよ!」


 「私から見ても、誰から見ても、美少年としか思えないよ?」


 「それで、最強とかて、お爺ちゃんやっぱり凄い人だよね!」


 孫のウィンが、騒いでいるのが解るがあえて、聞き流しながら戦いの動きを目で追っている。


 「マリア?」


 「三回目のとどめを刺したけど?」


 「今回どれくらい剣技を見られたの?」


 「突きが、二回…斬りが五回…蹴りが一回ですか?」


 「惜しい……」


 「斬りが四回で、蹴りが二回よ?」


 「頑張って、この戦いで見れる目になれるように、もう一本お願いします!」


 「何だこの小娘の強さは、ジャンヌがお気に入りなのが良く解ってきた気がする」


 「どう見ても、本気で戦って居ない事が解る……」


 「スノーと言ったかな小娘よ?」


 「そうですよ、ハクのお父様?」


 「一度だけで良いから本気で斬り込んでくれないか?」


 「どうもお主以外で、儂より上の者が多いい気がしてならない……」


 「いいですけど?」





 「ふっと、お母様の気配が消える――」


 「ポト……」


 「ダイトカイト様見えました?」


 「一応見え取るが、本当にユウト以上に早くて強いの~」


 「流石スノーちゃんだぜ、昔を思い出してまた旅に行きたいな…あのメンバーで……」


 「こ、こ、こ娘よ……全然動きが見えない事と太刀筋が全く音がしないとは…お主程の少女が世界には、いるのだな……感動したのとやっぱり儂の嫁に合わせて手合わせしてる中みたいものじゃな?」


 「小娘じゃなくて、スノーちゃんと呼びなさい!」


 『ビシッ―』と音を立てて指を突き出す…お母様である。


 「それにあまり後が無いわよ?」


 「今の攻撃で、二回も貴男は、死んでいる事に気付いてないの?」


 お母様の言葉が凄く冷たく周りを冷やすように、温度が下がっていく――


 「お主との戦いもあと一回で、終わりと言う事か……」


 「何度でも再戦してもいいけど?」


 「時間の無駄だし、マリアも動き大体見える様になったみたいだし、指導もこれくらいでいいかな?」と思ってるのだけど?


 「降参するぞ」


 「儂では、そこのマリアと言ったガキくらいしか倒せない事が解ったからもう少し鍛えてからリベンジするぞ……」


 「それより、儂もこの後用事があるのじゃが……」


 「あ、僕に、言ってますよね?」


 「そうじゃな、お主が何故かマスターになっている事に驚きを隠せないが、儂を当分の間好きに動けるようにしてくれぬか?」


 「別にいいですよ、むしろ僕も鍛えて、次こそ堂々と正面から矢を放ちます――」


 「それじゃ~」


 「今回これで、お開きじゃ~」


 「ハクよ、儂の王国都市へ案内を頼めるか?」


 「頼めますし、直ぐにその場所へと送る事が出来ますが、どうしてもダイトカイト様の視線が痛いので、戦ってあげて頂けませんか?」


 「校長と戦えて事だろう?」


 「いいぜ、それくらいの時間は、かからずおわるはずじゃから問題ないか……」


 「お父様…何故に口から血が……」


 「胃が痛いが、相手になろう」と言った瞬間に、お母様の癒しの魔法が魔王様に届くのが見える。


 「私がつけた傷は、全回復してるだろうからそれで、戦うといいわね」


 「スノーちゃんとやらお礼に、これを……」と腕輪を渡す。


 「今は、不明状態かもしれぬが、何かあった時は、助けてくれるはずじゃから」と言って、お爺様の所へと一歩ずつ足を進めるのだった。

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