03章 幼女時代『再会編』

第164話 感動の再会【父と子の涙】

 地下三階に下りると、中は真っ暗だった。僕は、直ぐにライトの範囲魔法を使い地下三階内を大きく照らす事から始める。


 腐敗した魔物が仲間同士で共食いをしている光景に出くわすが、気にせずファイアーボールを空中内に投げて、『散れ』と願い拡散して周りの腐敗した者達を燃やして灰になる。


 リーヴスラシル君には、火属性の付与をして弱っている魔物と新しく芽が出た魔物を討伐しながら戦う事が出来たらかなり幸せね。


 「精進しながら狩っていきますよ?」


 「姫様の魔法にあたらないように避けながら戦うので大丈夫です」


 そして、辺りが水晶の壁が見えてくる――


 ライトを幾つか範囲拡大して照らしていると?


 大きなクリスタルが出てくる。


 「あ、お母様これじゃないですか?」


 「確かに形が、クリスタルに入って見えるけど濁っていて、狐族か判断難しいわよ?」


 「それにこれどうやって砕くの?」


 そんな会話をしている中自然とゆっくりとシルフィーお爺ちゃんが、クリスタルに手を触れると不思議な事が起きる――


 水晶に亀裂が入り中からロングの黒髪をした少女が現れる――


 どう見ても十代くらいに見える。


 そして、シルフィーお爺ちゃんは、叫んだ!


 「リナアフタヌーン――」


 ゆっくりとお姫様抱っこしながら地面に足がつく……


 長年眠っていたはずの少女は、ゆっくりと目を開ける。


 「あれ、シル君何か男前になってる!」


 凄く澄んだ声をした少女が、おじいちゃんの名前を言っている。


 「それに、ダイトカイト様もいるけど?」


 「ここどこですか?」


 そして、数分の時間の中で簡単な説明をする事になり話すとやっと落ち着きを取り戻す。


 「そう言えば確か子供が生まれて喜んでいる所に、黒い影を纏った女性が私を後ろから黒い袋に詰められた事は、なんとなく思い出しました」


 「そして、変なお屋敷に連れてこられて、お前は、我の嫁になる者なりと言って触られそうになったから禁術を使ったらその後の記憶がないかな?」


 「そうか、それでクリスタルの結晶内に閉じこもり年月が過ぎたようじゃな?」


 「それにしてもシル君なの?」


 「私好みの叔父様になってるけど!」


 お父様のお母様凄い目覚めの後のはずなのにテンション高いですねとお母様に念話を送ると同じように、そうねと返事が返ってくる。


 「これで一件落着でいいのかな?」


 「そうね、カゼフ君有難う約束は、落ち着いたら守るわね」とお母様は言う。


 「二階の召喚魔法類は、回収しなくていいのか?」


 「そうですね、今の所封じられているみたいで、僕のSPが減る事もないので、後ほど落ち着いたら取りに来ます」


 「先に、お父様に、お婆様が元気だと言う念話は、飛ばしましたが戻る事を優先にしましょう~」


 そして、帰りは、罠などなくすんなりと外に出られる。


 そして、一同は、カゼフ君の屋敷に戻ると何故かお父様がそこにいた。


 「リナア母様は、どちらに?」


 「よくお前俺の目の前に来られたな?」


 カゼフ君が警戒態勢が高くなっているが、念話が飛んでくるなり静かになる。


 たぶんお母様が念話で何か言ったのだろう。


 「あら、貴男誰?」


 シルフィーお爺ちゃんとダイトカイトお爺ちゃんが説明するとかなり驚いているようだ。


 それもそのはず生まれて数ヶ月しないうちに、封印して、目が覚めたら孫がいるなんて言われたらショックだろう……


 「このこが、ユウトなの?」


 「私が想像していた以上に、かっこいいわね!」


 「そして、貴女がユウトのお嫁さんて事で……」


 「後ろにいる白銀の少女は、誰なの?」


 「マリア元の姿に戻りなさい」


 言われるままに、元に戻りお母様に抱っこしてもらう。


 「あれ、可愛らしい子が赤ん坊に変わった!」


 事情を説明して行くとどうやらなっとくしてくれたのと姉が居る事を聞いてはしゃいでいる。


 ダイトカイト様てもしかして、ユウトの子供にかなり甘かったりしませんかと話題が上がると甘いですねとお母様が答える。


 お父様のお母様は、それは解りますと笑顔でお爺ちゃんの手を取って喜んでいる。


 見た目は、少女なのだが心は、お婆ちゃんなのねとなっとくのいく光景だった。


 何だかんだ三人で落ち着いた場所で話をしていると、泣くような声が聞こえる……


 どうやら緊張がほぐれて、三人親子で話し合って、感動の涙みたいな流れになっただろうなと残ったメンバーは、そう思ったのであった。

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