余が褌生に悔いはなし

作者 三矢由巳

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★★★ Excellent!!!

不覚にも泣いてしまいました。褌の語りなのに。
江戸時代、お殿様に使われていた褌の仕事ぶりを褌の一人称で語った短編です。
たかが褌と侮るなかれ。褌は殿様の一物を守る誇り高き布なのだ。

前半の前半、褌の締め方や殿様の一日の描写はちょっぴり説明っぽさが出てしまっているかな?とは思いましたが、これも作者様の造詣の深さを物語るものですし、江戸時代の男性の習俗と思えば素晴らしい資料です。
殿様の姫君の話、殿様が夜眠られている時の話、いずれも褌にしか分からない話を丁寧に語ってくれているので、惹き込まれていきます。

後半、祝言という貴重な場に居合わせた褌の名誉といったらきっとそうなかったことでしょう。
しまわれて耐えた年月はさらりと流されていきましたが、その間も保たれた褌のおのれの仕事へのプライドはけして汚れることはなかったのだろうと思います。
最後、彼が殿様の一物を守ったことが大勢の人に知られるようになってよかったです。なんだかみんなに認められたのが嬉しくて私は泣いてしまいました。

★★★ Excellent!!!

「ここまで来たのだ」そう、誇らしげな褌の声が聞こえるかのような作品でした。甲冑や、羽織りなどならまだしも、まさか褌一つでこうもじんわり感動するとは……
どこかの資料館に実際に展示されているものがあるのでしょうか?
定かではありませんが、もしあるのなら、見に行きたいなって思わせてくれた、とても良い物語だと思いました。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

イロモノかと思って読み始めた。
非常に有意義なイロモノだった。

学問好きの武士みたいに「余」と自称する彼は、
絹でできたとても上等な「ふんどし」である。

そこの淑女、ドン引きしないで。
そっちの男子は下ネタ待機しないでよろしい。

殿様のふんどしとして任務に就いた「余」は、
冷静な観察眼で以て江戸時代の風俗・文化を語っていく。
その密着取材の精度は、これ以上ないほど男性に密着する
ふんどしだからこそ成せるわざだと言えるだろう。

読みやすく親しみやすい文章が素晴らしい。
私は戦史や政治史、学術史しかろくに知らないので、
古道具を基点に風俗・文化を語る本作は興味深かった。
勉強になりました。

★★ Very Good!!

古い着物や簪(かんざし)を見たり、買ったりします。
どんな人の持ち物だったのかなと、よく思います。
一枚の布にも歴史ドラマがありますよね。
ほっこりとするお話でした。