★★★ Excellent!!!
心が辛い時にこそ読んでほしい物語 おっちゃん
この物語を一言で表すなら――――美しい。
月に憧れ、宇宙を目指す男女のお話。
二人の出会いが幼少期である事から、物語の根幹に触れるまで少々時間がかかる。
それでも不思議な少女ユーリアと、僕との物語はどこか儚く危うくて、どんどんと引き込まれていく。
Track3からは圧巻だった。
物語の転を迎えた後、もはや読みすすめる手が止まらない。
連載中にこの作品を知らなくてよかった。
もし連載中だったら――――とても続きが待てなかった。
読了後は清々しく、日常でささくれ立っていた心が晴れ渡っていた。
それは物語構成が素晴らしかったとか、どんでん返しにハッとさせられたとか、そういったテクニカルな事ではない。
自分の事を棚に上げて、失礼を承知でいえば文章が上手かったからでもない。
ただ、ありありと浮かんだからだ。
自分が青年だった頃、見上げた空に瞬く星。その輝きが。
誰もいない静かな海で、寄せては返す波の音が。
だからこそ、この物語を評するのであれば<美しい>という言葉で飾りたいと私は思う。
日常に忙殺されて、心に余裕を持てないことは誰にでもある。
そんな時、この物語を読んでほしい。
星空と波音が、貴方の心を癒やしてくれるはずだから――。
美しい物語を紡いでくれた作者様に感謝します。