壇 白学のオカルト事務所(短編ホラー集)

作者 ペンギン伯爵

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★★ Very Good!!

怪談を語る男のもとに、様々な人が集う。

そして語られる怪談は、話の中に人の怖さや弱さが垣間見え、ただの不思議な話にとどまらない。時にはただ単にオチがつくことも。でもそれらは時に、事件のヒントとなり、悩みを解決し……と、ミステリー要素も含んだ連作短編集でした。

落ち着いた空気が全体的に満ちていて、心地よくもある読後感。
実験的な事もしているのかな? と思われる箇所も多少ありました。

気になるところとしては、「そういう」が相応しそうな場面で「そうゆう」になっていて、実際の人物像や雰囲気とは無関係に幼く見えてしまう表現になっているのがやや残念。
(作者様が想定した人物設定であるなら申し訳ないですが)

それ以外にも小説としてはまだ荒いと感じる部分も多いですが、
全体の雰囲気としては好きなので、これ以降も頑張っていただきたいものです。

★★★ Excellent!!!

霊能に詳しい壇白学が、怪談話をとうとうと語る傑作短編集です。

作者様の作品は『護り屋』なども拝読しておりますが、それとは全く毛色の異なるホラーを執筆なされていて、作風の豊富さに驚かされます。

本作では、霊絡みの怪奇現象から背筋がゾッとするスリラーまで多岐に渡りますが、中でも目を引いたのが『死者からの手紙』です。
全3話に分かれているだけあって、読み応えのある「犯人当て」要素がありました。
とある女性のストーカー犯人を突き止める、というもので、さらには人死にまで発生し、誰の仕業なのか、幽霊の存在がどう絡むのか、ちょっとしたミステリー要素がサスペンスしていて楽しめました。

他にも捻りを加えたホラーが詰まった、珠玉の宝箱。
暑い日に読むと涼しくなれますよ。

★★★ Excellent!!!

 日本が戦争に負けて現実に向き合わなけばならなくなる前の、退廃と幻想の世界がここにある。
 自分から世界に働きかけることなく、座したまま何もかも分かったようなつもりで冷笑し、傍観する。
 人間はそれじゃあいけないというのは分かり切った話。人間でなくなるのを覚悟で、そっちへ足を踏み入れたつもりで退屈な生き方をするのも一つの美ではある。
 少なくとも、人を傷つけさえしなければよい。