第3話

「う、嘘……」


「残念だが本当なんだ。

そもそも、おまえは龍之介のことは諦めたんじゃなかったのか?」


「確かに一度は諦めようとしましたが、やっぱり諦めることなんて出来なかった。

いくら龍之介さんがめぐみさんと接吻されたとはいえ、好きになったのは私の方が先なんです。

しかも、私の方がずっとボインですから!」


「確かに……」


私の胸を凝視しながら、猫神様がしみじみとつぶやいた。




「しかし、めぐみと龍之介は接吻だけではなく、もっとえっちなことを済ませた仲だ。

諦めるしかなかろう。」


「そ、それは……」


姫香が唇を噛み締め、私をにらみつけた。

どんなににらまれようが、なんてことない。

私の作戦勝ちだもの。

私は心の中で、勝利の微笑みを浮かべた。

ところが…ところがなのである。




「姫香とも付き合えば良いんじゃない?

なんせ、姫香とも相性はバッチグーなのだから。」




「えっっ!?」




皆の視線が、猫神様に注がれた。

そんな突拍子もないことを言いながら、猫神様は暢気ににこにこと笑ってる。




「ね、猫神様、馬鹿なことを言わんでください…

龍之介はすでにめぐみと体を重ねたのですぞ。」


そうだ、文さん!もっと言ってやって!




「それがどうした?

めぐみと重ねたのなら、ついでに姫香とも重ねたら良いじゃない。」


えーーーーっ!

猫神様、あんた…なんちゅーことを言うんです!?




「そうですわ!

私ともそういうことをやってみれば、めぐみさんより私の方がずっと気持ち良いことがわかるはず!」


そう言って、姫香はボインを前に突き出す。




「ま、そういうことだ、龍之介…」


あきれる文さん、戸惑う龍之介さん、怒りで震える私を前にして、猫神様は極めて穏やかに微笑んだ。




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