(3)
*
「ごちそうさま~」
「お粗末様で」
「いや! 美味しかったよ!」
「そう言ってもらえると嬉しい」
居候兼給仕の九太郎は今日の分の食材を買っていなかったらしい。しかし蘭丸は残っていた鶏肉とたまごと玉ねぎ、冷凍のご飯で親子丼を拵えてくれた。
それがもう、美味しくって!
ふわとろーほろほろーって感じ。
美味しくて何度も頬を押さえた。
「めぐみは大げさだ」
蘭丸はそう言っていたけれど、私は事実しか言わないし、本当に美味しかったのだ。
そしてもう一つ美味しかったのは……。
(蘭丸の割烹着姿ってなんて眩しいの!)
彼の調理風景だった。
着物の上に割烹着。
おかんかよ! と心の中で突っ込むと同時にイケメンかよ! イケメンだよ! と連続して唸らずにはいられなかった。
「はは。めぐみは本当に、可愛い奴だ」
そう言って彼は手際よく後片付けを終えた。
「さあ、行こうか」
「うん! ……うん?」
「どうした、めぐみ?」
蘭丸はさも当然という顔で私の手を取りどこかへいざなう。
連れていかれたのは先ほどまで寝ていた私の寝室で……。
「朝までしっかり抱きしめてやるからな!」
「は……?」
「先程も私があやすように抱きしめていたら幸せそうに寝ていたではないか。だから、ほら!」
いつの間にか蘭丸は布団に入り、片側を開いて待っている。
おいで、と。
…………へ?
ま、マジですか!
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