マカロン注意

(1)



 私はお風呂からあがると早速マカロンと対峙した。


 赤、黄色、緑。


 見たところベリー系、レモン、抹茶、と言ったところか。

 大きさは親指と人差し指をくっつけてできる丸ぐらい。

 私は首を傾げる。

 見た目は悪くない。

 しかしすぐに開き直った。

 やっぱ、見た目より味よね! と。


 そして私は黄色のマカロンを掴むと一口で食べた。

 そこで意識は途切れた。



 *



「あのー」

「…………ん?」


 ぺちぺちという貼りつくような音に目を覚ました。

 窓の外にはちちちと鳴き合う数羽の雀がいた。

 朝のようだ。


「ごめん、あと五分……」

「いやあ、起きてくださいよ」

「あと五十分……」

「延びてます!」


 しょぼしょぼする目をこすればそこには九太郎がしゃがんで私の額を叩いていた。

 ぺちぺち。

 ぺちぺち。


「うざい!」

「ひょえっ」

「その叩き方やめてよー、なんか逆に目が覚めないんだから」

「そうでございましたか!」


 しかしにっこり笑っている彼に悪意も反省も見当たらなかった。


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