第3話

「……どういうことなんです?」


「緑川姫香は、このあたりで一番の大地主の娘にゃん。

しかも、顔は芸能人並みに別嬪だし、すごいボインちゃんなのにゃん。」


そう言いながら、文さんは切ない視線で私の胸元を見つめる…




「そ、そんなことがなんだって言うんです!?

うちだって、実家は持ち家ですし、私、子供の頃、町内の美人コンクールでベスト3に入ったことありますし、む、胸だって…」


パットを入れた上に寄せてあげてるんだから、それなりに大きくは見えるはず…

それとも、なにか…この猫…私の偽装工作を見破ったとでも…ま、まさか…そんなことがあるわけない!

美人コンクールは、参加人数はたったの5人だったけど、それでも第3位でベスト3に入ったことは間違いないんだ。

そ、そりゃあ、大地主っていうのはちょっと負けてるかもしれないけど、こんな田舎の大地主なんてたかが知れてる。

緑川姫香がなんぼのもんじゃい!!




「……とにかく……

龍之介のことは……」


文さんはみっつ目の饅頭を頬張りながら、ゆっくりとしゃべる。




「私、諦めませんから!」




大きな声を出したせいか、文さんは口を動かすのをやめ、私の顔をじっとみつめてた。




「そっか…じゃあ、頑張るにゃん。

あ、そうか…良く考えてみれば、東雲の家には九太郎もいるし、きつね石も持ってるんだにゃ。

うん、うん、なんだかおもしろくなってきたにゃん。」


???


どういうことだかわからないけど、文さんは妙に楽しそうな顔をして笑ってた。



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