読書感想文『ポピーのためにできること』(ネタバレなし)
ミステリー小説を読んでたので更新してる暇がありませんでしたー(爆死)
そんなわけで今回は海外ミステリー小説です。
しかも珍しく『集英社文庫』さんですね。
たいていは『ハヤカワ』さんとか『創元推理文庫』さんとかが多いので、『集英社文庫』さんの海外ミステリーを購入するのは珍しい気がします。
それはともかく『21世紀のアガサ・クリスティー』という評価らしいです。とはいえ、こういう場合はたいてい『誇大広告』なので特に期待はしてませんでしたが、とても面白かったです。
個人的には、
『アガサ・クリスティーが現代にいたらこんな作品も書いたかもかも』
というぐらいの感想を抱く作品でした。
まあ、『エラリー・クイーンの方が近いかも』とも思いましたががが。
ともかくよく出来た作品と二重丸です。『アンソニー・ホロヴィッツ』氏と同じで『よくこの時代にこんなミステリーを作れるよな』という感じです。
作品自体は以前小生が絶賛したSF小説と同じで『誰かが書いた文章』をまとめた作品です。それを『二人の人間が読んでいる』というのが基本設定ですね。
分かり易く言えば通常のミステリー小説から『地の文』を排除して、誰かが語っている『主観的現実』を一つずつ積み上げていく物語と言えるでしょう。
この『主観的現実』というのがこの物語の面白い部分ですね。
なぜならば最初は読んでいてもぜんぜん分からないからです(笑)
まずは人間関係も良く分かりませんし、誰がどんな姿をしているのかもさっぱりです。登場人物がどんな暮らしをしているのか、物語の舞台がどんな場所なのかすら詳しくは分からないわけです。
つまりは極端に『情報量が少ない作品』と言えるでしょう。
人々の口から語られる『主観的な情報』だけでこの物語は進行していきます。
ですが、この主観的な情報で紡がれる『主観的現実』を読み進めていくうちに、自分の中でだんだんときちんとした物語の『輪郭』が見え始めてきます。
しかし、その『輪郭』が正しいのかは分かりません。
なぜならばその事実は全て『主観的現実』を積み上げたものに過ぎないからです。
読者に出来ることは文章から想像すること。
つまりはあらゆる状況を『推理』するしかないわけです。
『この人間は善人なのだろうか? それとも悪人なのだろうか?』
そこに書かれた文章は本気なのか?
それとも軽口のようなジョークなのか?
無数の現実と嘘の中で『真実に繋がる事実』はどこにあるのか?
おそらく読者によって様々な感想を抱く作品だと思います。
それでいてきちんと『ミステリー』をしている作品でもあります。
正直なところ他の人の感想も聞いてみたいですが、まだあまり読んでる人いないんですよねー。特殊な形体なのでミステリーファン向けの作品でもありますし。
ただ全体的には『初心者向け』でもあります。
あまりミステリー小説に慣れてない人にも配慮している感じもありました。
ネタバレしない程度だとこれが限界かなー。
あまり先入観なく読んで自分で考えて感じて欲しい作品ですね。
いちおうネタバレの感想も書きますが、どの程度書くかが難しいです。
この作品の『テーマ』を中心としたネタバレかなかな。
更新しなかったらボツになったと思ってください(笑)
<文章の先の感情>
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