ドラマ観賞『ハコヅメ』感想(ネタバレ)

『好みか好みじゃないか』と言われればそれほど好みではありませんが、それでも『一つのテーマを分かり易く描いた』良いドラマでした。


『なぜ警察は必要なのか?』


 という数多くある刑事ドラマの中でシンプルかつもっとも根本的なテーマを『一人の女性が警察官になる過程』を描くことによって、視聴者に伝わるような作りになっていると思われます。


 他の刑事ドラマが『犯人を捕まえる』という要素に注目する中で、『警察の本来の役割とは何か?』ということを問い掛けるのはなかなか目新しさを感じますね。


『警察とは法律を守らせる法の番人』

『警察官とは犯人を捕まえるお仕事』


 きっとそれも正しいことなのでしょう。

 でも、それが『何のためなのか』ということを忘れてはいけないのです。


『数を競う』ためではなく、

『権力を誇示する』ためでもなく、


 ただ誰かの『当たり前の日常』を守るために。

 警察は市民に対してその『権力』を使うことを許されているわけです。


 交通違反の取締りを『点数稼ぎ』と嫌う人々も多いですが、その些細な交通違反が誰かの『当たり前の日常』を破壊する危険性があることも事実です。


『自分だけは大丈夫だろう』


 ほとんどの人間はそう思います。

 小生もそうです。


 でも、小生もそうやって三回ぐらい車に跳ねられました。ドーン。幸運にも三回ともお互いに(大した)怪我はありませんでしたが、少なくとも今は車を信用した動きはしないことにしています。


 小生の場合は『取り返しの付く事故』でした。

 でも、世の中には何をしたって『取り返しの付かないこと』があります。


 それを多くの人々が『些細だと思っていることを守る』だけで防げるかもしれない。だからこそ警察官はそんな『多くの人々が些細だと思っている』ことですら取り締まる必要があるわけです。 


 例えそのために守るべき市民から『嫌われた』としても、それによって誰かの『日常』が守られるならば、それは『価値』あることなのです。


(『嫌われても守れる警察官になる』というのがこの作品のテーマの一つです)

(その集大成があの最後のシーンというわけです)


 一方で警察官もまたどこにでもいる『普通の人間』に過ぎません。

 嫌われれば傷つきますし、命の危険があればそこに恐怖を感じることもあります。


 愚痴を言ったり、酒を飲んだり、悪ふざけをしたり。そこにあるのは他の人々と同じように『守られるべき日常を持った人間』なのです。


 警察は『万能』ではありませんし。

 警察官は『超人』ではありません。

 

 でも、そんな『当たり前のこと』を誰もが忘れてしまうのです。 

 

 警察と市民は『同じものを守りたい人間として協力できる』はずなのに。

 そのことをお互いに忘れてしまうのがこの『現実』です。


『失った痛み』は失った者にしか分からず。

 失わせた者の『苦しみと後悔』もまた同じです。

 

 でも、その痛みや苦しみや後悔を感じてからでは『遅い』のです。

 それを感じさせないためにできることが『誰にでも』あるはずです。


 拳銃でどんぱちがあるわけでも、ミステリー要素が高いわけでもありませんが、そんなことを感じる良い警察ドラマでした。小生的にはそれほど好みとは言えませんが、それでも『好きなドラマ』と言えるでしょう。


『好み』と『好き』はまた別の感情なのでふよー。

 でわ、たぶん明日も更新しまーす。


 よろぴこ(死語中の死語) 


<続きはあるじゃろか?>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る