読書感想文『リビルドワールドII(上)』(ネタバレ)
『下』が発売されたので『上』の感想を書きます。今回は一気に通して読んだので、どこまでが『上』の内容だったか確認しながら書いております。記憶力が(汗)
根本的にはWEB版とそこまでの違いはなく、面白かったです。この辺りから主人公がハンターとして活動し始めるので、『リビルドワールド』という物語が本格的に始動していきます。
この巻に収録されてる『アキラ』と『レイナ』と『シオリ』の『問答』みたいな部分はめっちゃ好きです。『アキラ』というキャラクターの『思考』がよく理解できる部分でもあります。
『アキラ』が『本当に頼むとこ』とかも好きですね。ああいう素直な部分も『アキラ』というキャラクターをしっかりと表現していると思います。ところどころに作者様の上手さが滲み出てる感じです。
『リビルドワールドI』は本当に物語の『プロローグ』に過ぎないので、そこで『話の展開が遅い』とか『イマイチ盛り上がらない』と切ってしまうと勿体無い作品だと思いますよん。
WEB小説の良いところはこういう『長期的な作品』を作り易いという環境なのですが、それがいざ書籍化すると良いところを発揮する前に打ち切られるという懸念があるわけです。今のところは何とか回避している状況でしょうか。
帯とかに部数が書いてないから爆発的に売れてないのは確かでしょう。
でも、打ち切られない程度には利益を出しているという状況ぐらいですかね。
ま、一読者がそんな心配をしても仕方が無いので置いといて。
WEB版との違いとその辺りの影響についてでも書きましょうか。
大きな違いとしては『カツヤ組』の扱いが変わっているという点です。ただこれに関しては『カツヤ』が変わったのではなく、『ユミナ』がめっちゃ有能になった影響でしょう。
WEB版では『カツヤ』の『おまけ』ぐらいの扱いだったのに、書籍版だと扱いがぜんぜん違う。むしろ『カツヤ』が『おまけ』で『ユミナ』が『本体』になってきてます(汗)
『アキラ』と『アルファ』の関係の対比として『カツヤ』と『ユミナ』の関係が挙げられるぐらい出世してますね。それに伴い物語の中における『カツヤ組』の存在感がアップしてます。
反面、『カツヤ組』が嫌いな読者にとってはWEB版よりも面白くないかもしれません。WEB版よりも物語が複雑化し、より『群像劇』に近づいています。
文章と情報量が増えた分だけテンポが悪くなっているという欠点もあります。『ユミナ』というキャラクターの変化により多少『歪』になっている部分もありました。
『エレナ』から『カツヤ組』に対する直接的な評価が無くなったり、多数決で指揮権を奪いに来るという話が無くなって別の話で補ったり、読んでいてちょっと違和感を感じる部分は幾つかありました。
とは言っても物語が破綻しているわけでもないので、ふつーに許容範囲ではあります。あくまでも『WEB版』と比べると構造が複雑化しているため、若干分かり難い箇所が増えてしまっていると感じました。
元から完成度が高い分だけちょっとした変化でもあちこちに影響が出てしまうんですよねー。完成している物語を弄くるというのは上手い作家さんでも難しいので、この辺りは仕方がありません。
小説でも『完全版』の方が前のより面白くなくなったということはけっこうあります。描写を追加してより分かり易くしたとしても、それが前より面白いとは限らないわけです。むずかちいねー。
新規(キャラ)イラストに関してはだいたい『想像の範囲内』かなーと。
『シオリ』はもうちょっと柔らかめのイメージではありました。
強化服を着た『エレナ』が照れてるところは拘ってるなーと思いました(笑)
そういう細かい部分に拘りがあるのはけっこう好きです。
短編に関しては『カツヤ組』の掘り下げでこれまた面白かったです。『カツヤ』に助けられた『アイリ』は『アルファ』に助けられた『アキラ』と同じ存在と言えるでしょう。
ただ助けた相手の『理由』と『目的』が違うだけで。
その結果、『アイリ』の方がより盲目的に依存してしまったわけです。
まあ、この短編を本編に組み込むのは色んな意味で難しいので、こういう短編が読めるのも書籍化の利点ですね。この調子なら全員分の短編が作れそうでち。
でわ、次は『下』の感想になります。
こっちの方が長くなる予定でつ。
<続く>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます