読書感想文『マーダーボット・ダイアリー』(ちょいバレ)

『ヒューゴー賞』とか『ローカス賞』ってなんじゃろね。

 と毎回思う小生です(笑)


 翻訳物の宣伝文句にいつも出てくるのでまったく興味がありません。『よく見る名前だなー』ぐらいの認識です。『ネビュラ賞』はあんま聞かん気します。


 賞を取った小説がつまらないことなんてよくある話なので、そういうのはまったく信用していない小生です。優勝したお笑い芸人がつまらないことは多々あります。というかほとんどです。


 まあ、原因は小生との審査方法の違いのせいですけど。

 小生は個人的感情で審査するので正確な審査ではないわけです(汗)


 さて、今回は毎度お馴染みの『ハヤカワ』さん……ではなく『創元SF』ですね。『創元』という名前を聞くと小生のようなマイナー読者ぐらいしか読んでないんじゃないかという疑惑が湧きますが、それはさておき。


 めっちゃ面白かったです。

 まさかこの時代にこんな良質の『スペオペ』が読めるとわ(歓喜)


 いつも通り細かいあらすじはネットで調べてもらうとして、小生的にはこの『マーダーボット・ダイアリー』というタイトルが素晴らしい。まさにその通りの作品だと思いました。


『マーダーボット』というのはこの作品の主人公の名前で、作品自体はその『人型警備ユニット』の独白に近い形式で進んでいきます。つまり『日記』というわけです。


 その語り口の面白さ。卑屈でありウィットに満ちている文章。

 殺人機械なのに『ドラマが好き』という設定の巧みさ。


 最初の一ページ目で『これは面白い』と確信できました。

 具体的には『欠陥品』と『第三百九十七話』という部分ですね(笑)


 登場人物の会話も素晴らしい。

 特に『ART』との会話が好きです。


 そういう部分からも作者様の『SF的感覚』が優れているのが理解できます。

 確かにこれは『SF』ではなくては書けない作品でしょう。


 主人公である『マーダーボット』の視点が中心なので『情報』的には偏りがある内容ですが、小生がSF初心者に薦める最初の一作に名前が挙げるかもしれないぐらい良かったです。


 良い意味で『ラノベ』的と言いますか、小生としては『攻殻機動隊』を思い出すような場面も多く、日本人にも受けるタイプのSF作品と言えるでしょう。


『三体』とか『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』とか『イルミナエ・ファイル』とかもめっちゃ面白いけど、『変化球』だったり『難解』だったりと『SF』はなかなか初心者に薦め難いので、久しぶりに『王道』だったのも良かったです。


 雰囲気的には『スカーレット・ウィザード』ぐらいな感じですかね。

 子供向けよりちょっと大人向けの『スペオペ』だと思います。


『今宵、銀河を杯にして』に近いような感覚もありますね。

 シリアスでありながらユーモラスであり、てんやわんやみたいな(笑)


 上下巻で中篇が四本の構成(主人公は同じ)。値段は一冊千円弱で翻訳物らしく高め。でも、その中で一つぐらいつまらないのがあるかと思ったら、全ての作品が面白かったのでとてもお得に感じました。個人的には一冊二千円でも買ったと思います。


『主人公がきちんと主人公している』作品なので読んでいて爽快感があるというのが好みですね。戦闘シーンでも活躍するし、テーマ的にも重要だし、主人公がちゃんと物語の中心になっている作品はとても好きです。


『森博嗣』氏の『Wシリーズ』もそうですが、『ロボットもの』として従来の作品よりもう一歩先へと踏み進んだ感触があります。

 

 そういう意味では『三体』『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』『イルミナエ・ファイル』も同様で、最近になって『SF』というものがまた新しい形を見出してきているような気もします。


 古典的でありながら現代的でもあると言いますか、『SFとしての設定』そのものに斬新さは感じないのですが、読んでいて『これは昔とは違うな』という確かな感触も得るわけです。


 ああ、そうか。小生が昔ほど『SF』を遠い世界の出来事だと思わなくなったのも大きいかもしれません。


 以前は『SF』を読むことは『未知の世界への旅』だったのですが、最近読んでいる作品は『現実の延長上』にあるように感じられます。


『夏への扉』を読んだときのわくわく感と孤独感は、最近の『SF』を読んでいてもほとんど感じなくなったなー。


 うーん、具体的に何が違うんでしょうね。

 もしかして最近の『SF』ってしっかりし過ぎじゃね(笑)


 昔の『SF』ってもっと破天荒でめちゃくちゃだったような気がします。『攻殻機動隊』とか『カウボーイビバップ』がしっかりした物語を作り過ぎたのが原因でしょうかね 最近だと『サイコパス』とか。


(『パトレイバー』はギャグ色も強いのでそれほど)


 あるいは『戦闘妖精・雪風』辺りのせいか。『アンブロークンアロー』なんて違う意味でやり過ぎでしょう。いや、めっちゃ面白いんですけどね。ただ他の人に絶対お薦めはしないだけで(笑)


(あるいは『アンブロークンアロー』こそが正統派SFかもしれません)

(SF警察が出てくるほどSFの形というのはなかなか複雑なのです)


 思い出したら読み返したくなったのでそのうち読もう。SF語りだすとこれまた止まらないのでブレーキ。見事に本筋からずれてます(笑)


 でも、『猿の惑星』の話でもしますか。面白いかは別として傑作だと思います。

 それとも『双子のエスパーを通信に使う話』でもしますか。


 毎回タイトル忘れます(汗)

 何だっけ?


『タウ・ゼロ』じゃなくて確かチョー有名なSF作家の『ハインライン』が書いた作品だったような…(検索中)…ああ、『宇宙(そら)に旅立つ時』でした。これもけっこう旅している感が強い作品だったと思います。


 でも、今回とは関係ないのでカットカット。

 というわけで『マーダーボット・ダイアリー』は今年の『お薦めSF』です。


『読み易く面白い王道』というのは素晴らしい。早く続きが読みたいけど、まだ出てないようで翻訳されるとしてもかなり先みたいです(泣)


 ちなみに『三体』はちょっと難解なのでSF初心者にはお薦めしません。『アンブロークンアロー』と同じで、理解さえできれば他には無い体験をできる小説なんですけどねー。


(ただSF好きでも『三体』をつまらないという人はいると思います)

(SFだけどSFにより過ぎないというか、奇妙に現実感が残る作品です)

(その点、今回の作品は間違いなくSFと言えるでしょう。スペオペですけど)


 さてさて、この『マーダーボット・ダイアリー』は『小生コレクション』に加えていいほど気に入りました。たぶん正月にもう一度読み返すと思います。好きな作品は何回も読みたい派閥の小生なのです。『記憶力が死んでる』とも言います(爆)


 時間があれば『ネタバレあり』の感想を書きたいぐらいです。あー好きな作品をオタクの饒舌で語りたいですなー。周囲がドン引きしますけど。語ってる自分がすきだから周囲の反応なんてどうでもいいんですけど(爆笑)


(注:この『駄文』自体がそれです)


 まあ、『スペオペ的冒険小説』が好きなら読んでみるがよろし。

 冒険というか『ボディガードのお話』なのでちょっと違いますけど。


『スペオペ的冒険小説』ならカクヨムの『竜王の船』も好きですね。

 昔はこういう作品が『王道』でたくさんあったんですです。


 冒険と言えば『魔神英雄伝ワタル』の新作がそのうち放送されるそうで。

 期待半分、不安半分という感じです。


 でわ、全然関係ない話でさようなら(笑)

 興味があるならネットで試し読みをどぞ。


 そこで面白いと感じたなら最後まで面白いと思いますヨ。


<サンクチュアリームーン>

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