小生小説講座『視る力』

 ミルミル?

 ミルミルミルミル?


『オレオ事件』の再来になりそうなネタでした(爆)

『スーパーミルクチャン』とどっちにするかでちょっと迷いました。


 さて、前回の続きです。

 

『構成力なんてどう鍛えればいいか分からないよ』


 とお嘆きのノビタくんの皆さんに朗報です。

 まずは『視る力』を鍛えましょう。


 これを鍛えると『上手い作品とは何か?』というのが理解できるようになります。

 初心者の方はそもそも『上手い作品』というものを理解できないわけです。


 まあ、ふつーの読者を目指すなら『それ』を理解する必要もありません。

 でも、創作する側に立とうとするならば『それ』を理解する必要がありません。


(天才はそれを理解しないで名作を生み出すので恐ろしいのですががが)

(プロの方でもこれを理解していない方はそれなりにいますけどどど)


 とは言っても『視る力』というのはきちんと作品と向き合っていれば自然と育つものです。基本的に『視る力』というのは『知識』と『経験』がものを言うからです。


 例えばですねー。

 小生も『ミステリー初心者』の時代があったわけです。


 でも、そこから色んな『知識』と『経験』を積んだことによって、『ミステリーの読み方』を会得しました。


『双子が出てきたらこのトリックを疑え』とか。

『あ、この文章はあれだからあーだな』とか。


 職業病の如く、めっちゃ疑ってるわけですヨ(笑)

『視る力』が育ったせいで『作者よりの目線』になってしまったわけです。


 そういう意味では純粋にミステリー小説を楽しめないという部分もありますが、これはこれで別の楽しみ方もありますし、読者の『視る力』を逆手に取ったトリックもけっこうあります


 ので、成長したら成長したで読書を楽しめます。


 いや、ミステリー小説の中には初心者が読むとまったく面白くないけど、ミステリー作品を『視る力』を育んだマニアが読むと絶賛するような作品もあるんですよ。そういうのは賛否両論だったりしますけど。


 ミステリーに限りませんが、『プロが絶賛して素人が酷評する作品』というのもたまにあります。その全てというわけではありませんが、それはプロと素人の間に『視る力』の差があるからです。


 芸術作品に例えると分かり易いかもしれません。

 

『この色使いは素晴らしい』とか。

『この構図は素晴らしい』とか。


 プロの方が褒めるのですが、小生にはさっぱり分かりません。

 でも、理解できる人には理解できる領域があるわけです。


(それを利用した詐欺もあるのでご注意を)

(良いという言葉は人が生み出した幻想でもあります)


『表現の自由』という言葉がありますが、実際のところ『表現するための自由』というのはあまりありません。先人たちが築いてきた歴史があり、今の表現(創作)というのはその延長線上にあるからです。


 ですが、逆に考えれば『そこに道がある』ということです。

 今は『天才じゃなくとも創作ができる』時代です。


『自分の作品は下手だ』

『天才に勝てるわけがない』


 そう気付いたときが『創作のスタートライン』です。

 そこまで理解できるならば、後は上手くなる方法も理解できるでしょう。


『天才はなぜ天才なのか?』


 それを理解できるようになったことが成長です。

 それに気付けるなら、彼らと競い合うこともできるかもしれません。


 さてさて、何か良い話になった気がするので、もうちょっと具体的に話を進めましょう。


『視る力』は『知識』と『経験』によって鍛えることができますが、逆に言えばそうしないと鍛えることはできません。最初から『視る力』が優れている人は別です。


 ですが、それをちょっとだけショートカットする方法を幾つか紹介しましょう。

 まずは『ミステリーを読め』です。


 これは『ミステリー小説』というのは『構成が分かり易い作品』が多い上に、読者が『考えながら読む』ことによって作品への理解が進むからです。他にも『結末を把握した上で二週目を読む』というのも効果的ですね。


 初心者にお薦めするなら『シャーロック・ホームズ』とか『アガサ・クリスティ』の作品がいいかなーと思います。ここら辺から派生した作品も多いですし。『そして誰もいなくなった』は同じ系統の作品でも未だに超えられない壁でもあります。


 そう言えばこの前『アガサ・クリスティー』の新しいドラマを見ましたけど、イマイチでした。やりたいことは分かるけど『それ面白いのかなー』という感じです。


 まあ、『名探偵ポワロ』はあの人が上手すぎるから再ドラマ化する意味があんまりないんですよね。だから、変化球で勝負するしかないという事情もあったりします。


 そんで次は『作品の感想を読む』です。

 自分の感想だけではなく、別の読者が書いた感想ですよん。


 これは単純に『自分が気付かないこと』を他の読者が気付いている可能性があるからです。そして『その感想が正しいのか』ということを判断するとこまでがワンセットです。


 ネット上には『間違った感想』がたくさんあります。

 中には『確実に読んでないだろ』というレベルの感想もちらほら。


 いや、小生だって間違ったり勘違いしたりすることはありますけど、『読んでない感想』はたいてい『批判的な感想』です。読んでないのにべた褒めしてる感想というのはあまり見ませんね。


 ただこれは『自分が書いた作品に向けられる感想』でやるのが一番効果的なのですが、たいていの作者様は『自分の作品を冷静に判断できない』ので、最初は他人の作品でやりましょう。


 そしてそして、最後は『製作者のインタビューを読もう』です。

 ……すみません。今てけとーに考えました(爆死)


 まず、次に、最後は。

 二つより三つの方がテンポが良かったものでして(汗)


 でも、まあ。

 強ち間違いでもありません。

 

『シン・ゴジラ』とかもね。

 インタビューを読まないと分からない部分もあります。


『これをどうやって作ったんだろう』


 あれぐらいの作品になると、映画を見ただけではどうやって製作したのか理解することは難しいです。『上手い作品』であればあるほど、体験しただけでは理解しきれなくなります。


 そのために製作者の話を聞いて『意図』を理解するのも勉強になります。

 と言っても、これはある程度『視る力』を得た人の遊びみたいなものです。


 最初のうちはインタビューを読んでも内容をあまり理解できないかもしれません。

 そういうのを理解できるようになるのも『実力が付いた証』です。


『自由』とは言いますが、当然『自由』にやってるわけではありません。

 そこにはちゃんとした『理』があります。


 偶然作るのは『プロ』ではありません。

 ありのままの『素材』をぶつけるだけなのもまた同じ。


 それを『加工』してどのように届けるか。

 それを『表現』と言います。

 

 ま、素人なら何でもいいですけど。

 プロを名乗るなら『そう』ならなくてはなりません。


 むしろ加工する余地があるからこそ、そこに『プロ』がいるわけです。


 その『加工する部分』を理解すると自分の創作にも生かすこともできます。

 きちんと『加工するための方法』も勉強する必要がありますが。


 良い評論家が良い小説を書けるわけではないのは、『加工された部分』を解説できても『加工するための方法』を実践できないからです。


 これは良くある失敗なのでご注意を。

 解説できても書けるわけではありません。


 とは言っても必ずしもできないわけではなく、できる人もいます。

 きちんと『視る力』を育てていれば、それだけ実力が付いているからです。


 あとついでに言えば『視る力』的に『良い作品』が『売れる作品』とは限りません。これは単純に作品のレベルを上げすぎると『凡人の読者』が付いてこないからです。


 例えば『天才』の中には二三十年先ぐらいの作品をぽんと書く人がいます。

 でも、たいていの場合は『凡人』がその感性に付いて来れません。


 ので、売れない。

『天才の悲劇』です。


 だから、『作品のレベルを下げる』という加工が必要になります。

『君の名は。』は明らかに作品のレベルを下げてる作品です。


 作った監督の感性(ルール)を考えると『あの結末』にはなりません。

 それを捻じ曲げてあの結末を持ってきたことによって『売れた』わけです。


(むしろ監督が語った結末こそがそのルールに適していたでしょう)


 つまり、作品の完成度を下げることによって逆に『凡人のための完成度』が上がった形になります。それは『テーマ性』や『作品のルール』まで読み解く受け手が少ないという意味でもあります。


 もっとも、それを読み解いたとしても『物語の面白さ』を優先する人が多いことにも注意しましょう。作品のレベルを下げれば売れたのにという作品は、小生が視て来た限りでもけっこうあります。


 それが『作者の美学』でもあるのでしょうけど、それが『読者の求めているものと違う』という悲劇。わりと最近でも『ゾンビもの』であったよね。テーマ的には素晴らしいオチだったのかもしれませんが、物語的には読者が求めてなかったみたいな。


 この辺りが『テーマ』の使い方の難しさです。

 面白い物語を書きたいなら『テーマ』に取り込まれないようにしないといけない。


 逆に『テーマを崩す』ことによって『テーマ性を強調させる』なんて使い方もあるのですが、こちらも技術的にはなかなか難しい。


『シン・ゴジラ』も序盤と終盤の『テーマ』が違うんですよねー。でも、意図的に『テーマ』を切り替えたことによって『物語』としては成功している。


 そして、その切り替えた『テーマ』によって序盤の『テーマ』が強調されている。

 構造としても物凄く上手い。結果として『凡人のための完成度』も上がってる。


 一言で『物語を作る』と言ってもいろんなやり方があります。

『視る力』を育てることによってそういうことが理解できるようになります。


 この理解したことを自分の作品に運用するというのはまた別のお話です。取りあえずは『自分の好み』とは別に『良い作品』を判別できるようになりましょう。


 売れて無くても『良い作品』はありますぜ。『テーマ性』が素晴らしいのもね。

 後は『何で売れなかったのか?』というのを考えるのも良いでしょう。


 一番多いのは『地味』かな(汗)

 後は『宣伝が足りなかった』とか。


 致命的ですけど『そもそも潜在的読者が少ない』というのも多いです。

『SF』とかは未だにこれだよね(汗)


『SF』にも良い作品がたくさんありますが、『良いSF』というのは読むのがめんどくさいという致命的な欠陥があったりします。漫画とかアニメの方が分かり易くて好まれる。


『ミステリー』も同じ欠点を抱えていましたが、最近では『キャラミス』や『原点回帰』している作品も増えて全体的に読み易くなったんではないでしょうかね。『トリック』も複雑にしまくればいいってもんじゃねーし。凡人的には。


 でわでわ、長くなったので終わります。

『周囲の意見』に流されずに判断できるようになれば一人前です。


 判断したうえで『周囲の意見』と同じなのは良いんですよ

 それを踏まえて『他の人の意見』にも耳を傾ければいいのです。


 ウルトラマンを見て『ヒーローを応援する』人もいれば『街を破壊しすぎだ』と思う人もいます。感想はいろいろ。視点もいろいろ。


『良い作品』を作ってもこればかりは難しい。

 それをある程度誘導できるのも『良い作品の条件』ですけどどど。

 

 ガンガレ製作者。

 完。


<ウルトラマンタイガ、面白いです> 

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