FGO『ぐだぐだファイナル本能寺2019』 感想(ネタバレ)

 誰に学ぼうが。 

 誰に教わろうが。

 

 結局のところ、彼女は人を理解することができませんでした。

 だから、人が作った『良いもの』を基準に彼女は生きました。


 それは確かに『善行』でした。

 でも、彼女にはなぜそれが『良い』のか理解できません。


 なぜなら、彼女は自分のことしか理解できないからです。

『嘆き』も『苦悩』も無く、ただ分からないだけなのです。


 異物は怪物。近づくことすら恐ろしいナニカ。

『弱き人』は理解できない化物を『神』として祭り上げます。


 その力が自分たちに『災厄』を齎さないように。

 その力が自分たちの『利』となるように。


 でも、そうした人々の恐れすら、彼女はまったく理解できません。 


 長い長い時が過ぎ。

 彼女は一人の『弱き人』と出会いました。


『ソレ』はどこにでもいる『弱き人』でした。

 今まで彼女が守ってきた人々と同じでした。


 でも、一つだけ違うのは彼女がその人間を『見た』ことです。

 

 理解できないのではありません。

 理解しようとしていなかったのです。

 

 歩み寄れないのではありません。 

 歩み寄ろうとしなかったのです。

   

 そして、彼女は初めて理解しました。

 自分の眼で見たソレが『弱き人』なのだと。


 弱くも恐ろしい自分とは別のナニカだと。


 結局のところ、彼女は人を理解することはできません。

 ですが、人を知ること、人を見ることはできたのです。

 

 だから、彼女は理解します。

 自分が何のために『その力』を振るうのかを。


 もしかすると、それは。

 彼女が初めて自分から『やりたい』と思ったことなのかもしれません。


 神に人の心が分からないように。

 人に神の心は分かりません。


 でも、違う道を同じ方向に歩むことはできるでしょう。


 これはそんな出会いの物語。


――――


『本物の信長はだれーだ』というお話でした。

 嘘です(笑)


 まあ、特に深いテーマも無いイベントだったと思いますが、無理やり上げるなら『人と神』ですね。


 FGOの世界では『織田信長』という存在は『神を殺す魔王』という役割を与えられています。これは『人と神』を切り離した『ギルガメッシュ』に近い立ち位置です。人が『信仰』に依存しないための楔です。


 ある意味では『長尾景虎』はその『信仰』に取り憑かれた英雄です。

 彼女の行動は正しいかもしれません。


 でも、それは神々の視点です。

 絶対的強者が齎す弱者への救済。

 

 彼女自身は『人』というものを理解できない。

『人』を超えた存在、『神』に近い何かとして生まれてしまった。


『人を理解できないならば、人が信じるものを基準にすればいい』


 人に寄り添ったのはまだ彼女が『人』に近い存在だからでしょう。

 それでも彼女に人は理解できません。別の生き物だから。


 そんな彼女がサーヴァントとして一人の人間と向き合った末に、ようやく人がどんな生き物なのか理解を示します。それは知識ではなく、心で理解した証拠です。


 ある意味では『長尾景虎』という存在が始めて『人のために力を振るった瞬間』でしょう。人でもなく、神でもなく、人に寄り添う『ナニカ』として。


『根本的に理解し合えなくても歩み寄ることはできる』


 というのが型月さんのメインテーマの一つなのでふ。

 ま、とりあえずこれで『織田信長』の掘り下げは一段落ですかね。


『戦国時代』に関してはもう少しあるかもしれません。

 おそらく次は『幕末』でしょう。


『近藤勇』とか『永倉新八』とか『斎藤一』辺りは題材になり易いかなーと。

『芹沢鴨』を絡めて『Fate脚色』しても面白いかもしれません。


『坂本龍馬』もまだ秘密があるからなー。

 なんで『あれ』と契約したのかも分かってないし。


 ただ『長尾景虎』が『マスター』を笑ったときに複雑そうな顔をしていたのは、彼にも何か心当たりがあったからかもしれません。分不相応な願いが。


 でわでわ、長くなってきたのでこの辺で。

 ばいちゃ(死語)


<水着は意外でしたねー>

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