FGO『旧き蜘蛛は懐古と共に糸を紡ぐ』 感想(ネタバレ)
騙し、欺き、得を得る。
自分のルールで動く獣。
それが悪党である。
『悪党に仁義はあるだろうか?』
あるかもしれない。
『悪党に正しさはあるだろうか?』
あるかもしれない。
だが、それでも悪党は悪党に過ぎない。
人がそうなってはいけない獣。
人がそうあってはいけない形。
だから、悪党は『棺』に納まる。
ときには裏切られ。
ときには破滅して。
ときには滝から落ちて。
悪党は愚かである。
悪党は惨めである。
そう知らしめなければならない。
そう伝えなければならない。
だが、それでも誰かが叫ぶだろう。
『この世に悪が必要さ』と。
『悪を持って善を成せ』と。
きっと悪は栄えるだろう。
きっと悪は滅びないだろう。
それでも悪党は『棺』に納まる。
悪が善に変わるその日まで。
悪党は悪党に過ぎぬのだから。
――――
できるなら『悪』という言葉は無くすべきで。
だからこそ『悪党』は惨めな最後を迎えなくてはなりません。
うん、まあ、でも。
『悪』という概念自体が難しいわけで。
自分の利益のために他人を蹴落とすことが『悪』ならば、この世は『悪党』だらけです。結局のところ『どこまでなら許されるか』という問題でもあります。
『子供を助けるために食べ物を盗むことは悪だろうか?』
というのはよくある設問です。
『腹を空かせた人間を見て食べ物を与えないのは悪だろうか?』
とか。
もっと現実的に言えば、
『餓死寸前の人々がいるのに、それを無視しているのは悪だろうか?』
この辺りが現実的な問題でしょうかね。『某ミステリー』でも主題となりましたが、『人を助けるためにどこまで手を伸ばせばいい』というのはとても難しい問題です。『遠くばかり見て近くの人を見殺しにする』という事例もよくあることです。
更に難しいのは『国家』というものは『国民(国・自分)』を守るためにありとあらゆる手段を講じる『悪党』であるという点です。
国同士の関係に置いて『善人』というのは『馬鹿』と同意義であると認識されます。『人道支援』ですら手札の一つというのが現実です。
(人が集団化した場合、そこにどんな理由があろうとも『悪党化』するとも考えることができます。例えそれが自分たちの居場所を作るためだったとしても)
そして、それは人間が『最低限の善』を成せるまで成熟していないということでもあるでしょう。今回の物語の結末である『悪党同士が手を組む』というのは現実社会を表しているとも言えるかもしれません、
人間もまだ『獣』であり、いつの日か『人』と『人』が手を取り合う時代が来るかもしれませんが、そんな時代が来たら来たで『ディストピア』と呼ばれる可能性がありますけど(汗)
さてさて、『悪党談義』はこの辺にして。
今回の物語は実質『新宿のアーチャー』の『幕間』ですね。
ってか、よく考えるとあまり『新宿のアーチャー』のことを知らないことに気付かされます。名前は有名だし、よく知っているはずなのに、その『本質』についての理解がない。
『悪党』という外面だけの存在。
『善』に対する『悪』という対面。
いや、『あれ』が『善』なのかという点についてはいろんな意見がありそうですけどねー。まあ、基本的には秩序を守る側の人間ではあるでしょう。
さて、今回使われたトリックはミステリーの基本である『最初から容疑を外しておく』です。基本的には単体で使われず『アリバイトリック』などと合わせて使用されます。
この『トリック』に関しては幾つか『発展系』がありますが、それを語ること自体がいろんな作品のネタバレになるのでカット。
『ミステリー作品のトリック』としてだけではなく、普通の小説でも『裏切り者』がいる場合など、わざと『容疑者』から外して後から驚かせるという手法もあります。
まあ、ある程度慣れている人だと『容疑者』から外れた人ほど怪しいと見る人もいますので、それを更に逆手に取ることもできます。
この辺りは『読み合い』ですので
『読者の期待(予想)に応えるか』
『読者の期待を裏切るか』
『読者の期待を裏切って応えるか』
そんな感じでいろんな展開を考えることができます。ミステリー小説の中には最初から最後まで『どんでん返し』の連続で読者を翻弄するような作品もありますので、興味がある方はそういう作品を読んでみましょう。
ラスト一行でひっくり返すなんてのもあります。
あの感覚は凄いので、一度味わってみた方がいいかもしれません。
まあ、どの作品がそれというのは『ネタバレ』になるので言いませんが。
たいていは宣伝文句として使われるので、『ネタバレ』なのですががが(汗)
『善悪の議論』に関しては様々な議論がありますので、興味がある方は調べて見ましょう。ただあまり真に受けないように。今の時代、一つの思考に染まるのは危険ですので。
こういう議論は物語にも使えたりしますので『勉強』するのもいいでしょう。『ミステリと言う勿れ』という漫画でも使用されていますので、こちらも興味があれば読んで見なされ。
終わり。
<モノの見方は一つではありません>
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