面白さ分類学(初級編)
『面白い(素晴らしい)』
と一言で言ってもその『面白さ』は色々でして。
『美味い』
という言葉と同じで、その作品の本質を表現した言葉ではありません。
それを読んだ人間(食べた人間)の感情に過ぎないわけです。
それを具体的に分解するために『評論』というものがあるわけですが、この『評論』というものですら人間の『個人的主観』から逃れることができないのが現実です。悲しいけれど(以下略)
なかなか『物語の神様』のように均等な目線で作品を正確に評価できる人間はいないわけですヨ。もっとも『完璧な作品』というのはほとんど存在しないのですから、どの作品だって『悪い点』を指摘して『この作品は駄目だ』と切り捨てることも簡単だったりします。
ま、そんな小難しい話は横に置いといて(放置)
これは『初級編』なのでもっとも根本的な部分から解説していきましょう。
『面白さ』を追求するためには、まず『読者』を知らなければなりません。極端な話になりますが、『究極な小説』というのはたった一人の読者のためにカスタマイズされた超特化型の作品です。『シャア専用』という奴です。ウソデス。
さて、読者の『好み』や『流行』を知ることも『面白さ』の近道ですが、その話をしていると小説の歴史を遡ったりしなければならないので、これもカット(笑)
というわけで今回は『物語の三パターン』です。
物語というのを大まかに分類すると三つのパターンに別れるというお話てす。
別名『読者傾向』とも言います。
『読者が何を楽しむのか』ということです。
まあ、今回はその『読者傾向』のもっとも基礎的な形からですね。
基礎の基礎の三パターンですので、とっても簡単ですヨ(笑顔)
まず一つ目は『物語を楽しむ(楽しませる)』という『読者傾向』です。
『登場人物が何を感じ、何を成し遂げたか』ということを重要視する作品てふ。
簡単に言えば『大衆文芸』とか『娯楽作品』とか呼ばれる物語のことですね。『物語を通して伝えたいことではなく、物語そのものが読者を楽しませる作品』がこれです。
人によっては『堕落した小説』とも言います。
『媚びた作品』と言う方々もいます。
基本的には『読者を物語で楽しませること』が目的なので、あまり読者が不愉快に思うような展開は少なく、主人公がピンチになってもすぐに助かる作品が多いのも特徴です。
漫画だと『少年漫画』とか『少女漫画』と呼ばれる作品の多くがこれです。
『デスノート』のような例外もあるので一概には言えませんけどさー。
まあ、基本的には『娯楽』なのであまり難しいことは好まれません。
『ハリウッド映画』にはこの傾向の作品が大量にあるので参考になるでしょう。
娯楽万歳。
WEB小説ではこの娯楽特化が主流の一つですぬ。
そんな感じで二つ目の『読者傾向』は『テーマ性で読む(読ませる)』です。
『文芸』
『文学』
『純文学』
『ロシア文学』
(てけとーなのでツッコミ禁止)
何でもいいですけど、『物語を通してテーマを語ることを主体とした作品』のことです。そのため『物語自体の結末』はそれほど重要視されません。物語を通して描かれること。作品全体の完成度の方が重要です。
ふつーに主人公が死ぬことも多いです。
人生のどん底にいる主人公を描いて『テーマを語る』ことも珍しくありません。
『読んでいて不愉快な気分のまま読書が終わる』ということもあります。描かれているテーマを読者が読み取れないと『まったく意味が分からない』という感想を抱かれることも多々です。
『三つのパターン』の中ではもっとも売れ難い作品。
ですが、これが『物語の本質』でもあります。
例えば『なぜ人を殺してはいけないのか』という問いがあったとして、それに対する答えを物語を通して読者に伝える(理解させる)というのが『物語』だからです。
作者が伝えたいこと(テーマ)を『物語』を通して読者に伝えるというのが『物語の本質』です。そのため、作者に『物語のテーマは何ですか?』と尋ねると失礼になることもあります。読んで伝わらなかったら失敗ですしおすし。
そういう意味では『物語を楽しませる』ということも、作者が『物語は楽しいよ』というテーマを伝えているとも言えます。『物語は面白い』というテーマを伝えようとしているのが一つ目のパターンですな。
もっともこの『テーマ性で読む(読ませる)』という作品は、最近の傾向としてはほとんど死滅しているのではないかと思います。ぶっちゃけ売れませんから(汗)
というわけで三つ目の『物語を楽しみ(楽しませ)、テーマ性を読む(読ませる)』です。ハイブリットエンジン。混合型。今のところの最終進化系です。
最近の人に分かり易い例えを出すなら『シン・ゴジラ』がこれです。娯楽作品として有名な『Fate/stay night』も一つのテーマを元に描かれてます。今の時代の名作を呼ばれるような作品の多くはこの混合型であることが多いわけです。
『読者を楽しませたうえで、自分の伝えたいことも伝える』と言うのは簡単ですが、多くの有名な製作者が失敗した道でもあります。
『娯楽として優秀でもテーマ性が弱い』
『テーマ性が素晴らしいが、娯楽としてつまらない』
多くの作品がばっさばっさと切られていきました。死屍累々です。娯楽作品に徹したほうが面白かったという作品もありありありあり。アニメだと『新世紀エヴァンゲリオン』辺りからこういう形式の作品が増えた気がしますな。
ただ『エヴァ』の例からも分かる通り難しい。
『エヴァ』も最終回はふつーに叩かれていますし。
あれも『テーマ性』が読み取れれば素晴らしいのですが、初見で意味が分かる人がいるのかというぐらい難しいです。小生も最初は意味が分かりませんでした(汗)
最近では『ライトノベルだからテーマ性が無くてもいい』とも言い切れず、この『混合型』に近い作品が増えています。
『ゴブリンスレイヤー』も何気にこの『混合型』です。あの作品も描かれているテーマを読み解くことによって、更に面白くなるという物語だと思われ。
『四畳半神話大系』とか『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』もわりとこれ。というわけでまとめ。
『物語を楽しませる』
『テーマ性を読ませる』
『物語とテーマ性で楽しく読ませる』
うわーすげーてけとーだー。
まあ、でも、多くの作品がこの三つのどれかに分類できます。
自分がどのパターンの作品を書くのか明確にしましょう。『物語を楽しませ、読み取り難いテーマ性をこっそりと書く』というパターンもありますよ。色々です。
読者もこの三つで(大まかに)分類できるでしょう。小生は三つ目が主体の読者です。一も好きですけど、やはり三の方が印象が強くなりますね。
そのため『物語が面白く、テーマ性がきちんと描かれてる作品』の評価が高くなります。ついでにもう一つ付け加えるなら、これとは別の要素もあるということですな。
例えば、
『幻想的な世界を構築できているか』という『ファンタジー性』
『未来(未知)の世界が描かれている』という『SF性』
『読者を翻弄する謎の出来栄え』という『ミステリー(トリック)』
こういう要素を高く評価する読者もいるということを覚えておきましょう。
他にも文章の美しさという『芸術性』という評価もあったりなかったり。
(最近ブームらしい『俳句』はこの『芸術性』が重要視される作品かなーと)
『面白さ』と一言で言ってもいろんな形があるのでややこしいわけですヨ。同じ作品で評価がまったく違うのも、そもそも読み方が間違ってることも多いです。
好みの問題は別として、なるべく読者としては正しい読み方はしたいですが、まあ、自分の『妄想』が最優先なので小生もなんもいえねー。作者の意図を超えれば小生の勝ちみたいな戦いです。多くの人々からは不毛だと思われています。
まあ、小生は人生自体が不毛だと思っているのでどうでもいいですね。
たぶんこういうことを考えるのは人間だけでしょう。
だから、物語が生まれるわけです。
そういふものにわたしはなっている。
<一部では人間失格でしょうさ>
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