FGO『永久凍土帝国 アナスタシア』 考察(超ネタバレ)
<今回のテーマ>
シンプルに『立ち位置』だと思いました。
自分が立つべき場所。戦うべき相手。守りたいもの。
己の命を懸ける意義。
第一部ではこの『立ち位置』というのが、なるべく単純になるように配置されていましたが、今回の物語ではその『立ち位置』が登場人物ごとに複雑になっています。
その中で『マスター』と『マシュ』だけが今回の戦いに挑むための『立ち位置』を持っていませんでした。この二人が今後の戦いに挑むために、その『立ち位置』を定めるというのが今回の物語の意味です。
もう一つのテーマとしては『強者とは何か?』というのもあります。
これは『FGO第二部のメインテーマ』だと推測できるの、細かくはカット。
各自プレイして感じたことが重要です。
<強者と弱者>
強者と弱者というのは、あくまでも比較に過ぎません。
そのため『本当の強者』というのは一人だけです。
その他の全てはその一人に比較された『弱者』になるわけです。
いえ、本来はそうはなりません。
物事というのはそう単純ではないのです。
ですが、この『永久凍土帝国』での強者は『イヴァン雷帝』だけであり、その他の全ての『ヤガ』は彼に守られる弱者となってしまいました。
弱者が自分より弱いものを排除するという日常。
それが強者の特権だと妄信する世界。
たった一人の強者によって保護された仮初の楽園。
それが『永久凍土帝国』です。
『強者』という言葉に全ての可能性を費やした。
間違えてしまった世界の在り方です。
<カドック・ゼムルプスの目的>
『永久凍土帝国』を救うことで自身の存在を確立すること。
世界を救った主人公と同じだけの功績を挙げたかったようです。
自身のサーヴァントの望みを叶えたいという願望もあったようですが、どの時点でそう考えるようになったのかは不明。サーヴァントと契約したあとに世界を選んだのか、世界を選んだのかあとにサーヴァントと契約をしたのか。細かい部分は不明。
『カドック』の敗因は『世界と向き合わなかった』ことです。彼にとっては『世界を救うこと』が重要であり、『どの世界を救う』ということは重要ではありませんでした。勝てる可能性がある世界ならばどこでも良かったわけです。
『汎人類史』を救おうとしないのも、最後に『永久凍土帝国』を違う世界に塗り替えようとしたのも、その世界が彼にとっては重要ではないからです。そこで暮らす『ヤガ』ですら、彼にとっては駒の一つに過ぎません。
だからこそ、彼は全てを駒のように扱い、勝利を収める寸前まで戦えたわけですが、結局は駒とか見てなかったゆえに、彼は世界を救う資格失ってしまいました。
もし彼が本当に『永久凍土帝国』という世界が生き残るべきだと信じていたならば、結果は違っていたでしょう。
ですが、彼は最後まで『自分』と『契約したサーヴァント』のことしか頭にありませんでした。『マスター』が真実に絶望することを理解できても、彼は本質的にそれを理解できない人間だったわけです。正しく『魔術師』だったのかもしれません。
ゆえに『カドック・ゼムルプス』は『マスター』と『異端のヤガ』の間に起きた奇跡を理解できませんでした。ただ自分の思うとおりにいかなかったと卑下するだけで。それが自分の実力が足りなかったと勘違いするだけで。
それは『アタランテ(オ)』との違いでもあります。
彼は気付かずに戦って敗北し、彼女は気付いていながら戦い敗北しました。
この差はとても大きいです。それに気付かない限り『カドック・ゼムルプス』という魔術師に救いは訪れないかもしれません。
<アタランテ(オ)>
弱者を守る英雄という立ち位置。
彼女は本質として目の前の子供を見捨てられない存在です。それが『汎人類史』の子供を見捨てる行為でも、自分という存在が消滅する自殺行為でも、彼女の在り方がそれを許さないわけです。
彼女は『汎人類史』を救うためでも『永久凍土帝国』を助けるためでもなく、『自分が救いたい命』のために戦いました。でも、それはけっして間違いではないのです。それもまた英霊の在り方なのですから。
シナリオ的には『ベオウルフ』と対の立ち位置。
それに『ビリー・ザ・キッド』を加えたのが今回の構図。
立場的には『マシュ』と対になってるとも言えます。
<ベオウルフ>
弱者を導く王という立ち位置。
『ベオウルフ』は『アタランテ(オ)』とは違い、弱者を守るために行動したわけではありません。彼には彼の目的があり、その過程で偶然『ヤガ』たちを鍛えたに過ぎません。『汎人類史』を守るというのが『英霊』としての彼の役割なのです。
それが自分の鍛えた『ヤガ』を見捨てる行為であっても、彼はその役割を果たそうとします。それもけっして間違いではありません。彼には彼の守るべき世界があり、それは『永久凍土帝国』ではないのです。
だから、英霊『ベオウルフ』は迷わず選びます。味方が敵に、敵が味方に。立場というものが変わってしまうことを彼は知っていたからでしょう。そして、戦うことでしか進めない未来があることも
<ビリー・ザ・キッド>
弱者に手を貸すアウトローという立ち位置。
彼自身にはそこまで背負うものがなく、自分の生きたい様に生きて死にます。『ベオウルフ』と別の道を歩んだのも、彼が本質的に誰かのために戦えない人間だからでしょう。
自分のために生き、自分のために死ぬ。『アタランテ(オ)』や『ベオウルフ』とは違い、立場や役割に縛られないのが彼の強みでもあり弱みでもあります。
三人の英霊の中でもっとも割り切っているのは彼だと思われ。
敵は敵。味方は味方。立ちはだかるならば撃ち殺すだけ。
<アヴィケブロン>
ナニカが選んだ今回の事例に対するカウンター。
彼が活躍するのも、そういう理由です。
今後も召還される英霊はたぶんカウンター存在なので、かなり頼りになると予測できます。しかし、『アヴィケブロン』がこんなに頼もしいとびっくりします(笑)
『おまえ活躍しすぎやんけ』と思いました。
<宮本武蔵>
英霊になっても旅をしている謎存在。
『アーサー・ペンドラゴン』とは違い、詳細不明。
今回の件が偶然なのか、導かれたのかも不明ですが、剣を極めるという目的が無くなってしまい、戸惑い中。ただ今回の一件で、剣士としての本分を思い出し、強敵を切ることに生きがいを見出したようです。
つまり、以前とあまり変わりない存在に(笑)
今のところはカルデアのジョーカー的存在。
まあ、またそのうち出てくるでしょう。
イベントでもふらふらと現れそうでふ。
<アントニオ・サリエリ>
彼の立ち位置は単純。
『永久凍土帝国』には音楽が無いので、『汎人類史』側。
まあ、英霊としては真っ当ではないので、暴走する危険性はありますが。
見方によっては『アタランテ(オ)』と同じ存在とも言えますね。
<ホームズとダ・ヴィンチ>
『汎人類史』の英霊。
比較的新しい英霊であるため、今の人類のために尽力してくれている。
ただ彼らだけでは世界を救うことはできない。
あくまでも助力するのがお仕事。
<新所長>
『汎人類史の魔術師』という立ち位置。
実用的だが、心無い言葉が多いのは彼が魔術師だからというのが大きい。
状況が読めずに自分の命を優先するのは小物だからですけど(笑)
その辺が改善できれば、冷静な指揮官になれそうですが、どうなることやら。
多少見所があるというのが、逆に対処に困る存在ですかね。
<アナスタシア>
皇帝として『永久凍土帝国』を守ることが願い。
ただサーヴァントとしてマスターを守ることも彼女の願いだった模様。
それが『カドック・ゼムルプス』という魔術師にどんな影響を与えたのかは未知数です。ある意味では彼女もパートナーを導いたサーヴァントだったと言えるかもしれません。
<イヴァン雷帝>
彼はマスターを見て、彼は本当に守りたかったものを思いだします。
自分はそれを守りたかったのだと。
もし、そんな人間が生きていける世界があるならば、それが正しいと認めました。
『汎人類史』の召還に応えるようになるのはそのためです。
相変わらず『カルデア式召還システム』は恐るべし。
英霊としての位があり、縁と同意があればたいていは呼び出せるのですから。
<マシュ>
マスターと同じ弱さを持つ人間ですが、マスターに無い強さを持つ人間でもあります。彼女には『それでも世界を守りたい』と言える強さがあったわけです。
むしろ今回は『マスター』の方が現実逃避をしていました。
だから、最後に事実を突き付けられ、動けなくなったのです。
『マシュ』はすでに準備をしていたため動けたという違いです。もっとも『マスター』はどれだけ悩んだとしても、答えを出すことはできなかったと思いますが。
ちなみに『マシュ』は『マスター』がそんな人間だとは気付いていません。
どんな屈強でも前に進める人間と勘違いをしています。
結果は同じですが、過程は微妙に違うわけです。
<パツシィ>
『永久凍土帝国』に置ける可能性の一人。もっとも彼の可能性がこの世界で芽吹くことはなく、『永久凍土帝国』が未来(分岐)を失ってしまった理由の一つです。
ただ彼が望んだ世界はマスターたちが生きる『汎人類史』のような世界でした。
自分たちの世界そうなりたかった。そういう世界で生きたかった。
ですが、彼の望みは叶いません。
それでも彼は願います。
そんな世界があるなら守れよと。
意地でも強がりでもなく、それが彼の願いとなりました。
自分の願いを、自分より弱くて強い『彼/彼女』に託したのです。
彼の可能性は芽吹くことはありませんでしたが、それでもそれは無駄にはなりません。その可能性が未来を作るのは、これからなのです。
<マスター>
今回もっとも現実と向き合っていなかった人間。
ゆえに、もっともこの世界と向き合ってしまった凡人。
そりゃどっちに転んでも大量虐殺ですから、無理です。例え『世界を守る。親しい人間を守る』という理由があったとしても、それをやってしまえばマスターの精神が耐え切れなくなり崩壊すると推測できます。
『異聞帯』を滅ぼす理由、滅ぼさない理由、どちらも容易く用意できます。
他の登場人物は、その中からそれぞれ理由を選び、戦う道を進みました。
でも、『マスター』にはその中に選べる理由がありませんでした。
『彼/彼女』はそこまで強い人間では無かったのです。
だから、新しい理由を用意する必要がありました。
『パツシィ』が自分の命を懸けて伝えた言葉がそれです。
『マスター』は迷わずそれを選びます。
『彼/彼女』にとってそれは『異聞帯を滅ぼす理由』として十分なものでした。
もし『パツシィ』が逆の願いを言っていれば、『マスター』はそれを叶えたかもしれません。凡人である『マスター』はそれぐらい危うい存在でもあります。
彼/彼女は世界を救うことも決意も、世界を滅ぼす覚悟もありません。
でも、一度手を伸ばしてしまえば、誰かに託されてしまえば、もう立ち止まることも、逃げることもできません。ただ明日を目指し生きていくだけです。
これからも迷い悩み苦しむことでしょう。
ですが、もう立ち止まることはできません。
『彼/彼女』は自分の存在そのもので、自分が生きていた世界が、望まれた世界であることを証明し続けなければならないのです。
今回の戦いはそういう戦いです。
人類の歩んできた過去を肯定する旅は、人類の今を証明する旅へと変化しました。
それがどうなるのか、というのはこれからのお話。
<永久凍土帝国>
人類を強化することのよって、人類の可能性が閉じてしまった世界。
ゆえに人類史から切り落とされた歴史。
もっともこの世界が悪かったということではなく、世界を進めるための犠牲となった世界の一つに過ぎません。おそらく同じ理由で切り捨てられた世界は無数に存在します。『人類滅亡の危機』という言葉が出るたびに、発生すると思われ。
簡単に言えば『人類が絶滅するぐらい運が悪かった世界』。普通ならば滅びていますが、『永久凍土帝国』のように生き残った末に切り捨てられる世界も存在していると推測できます。
もっとも『人類が絶滅する』という時点で可能性が制限されるため、よほどの奇跡がない限りは存続できなかった世界。ただ生存できる可能性はあったようで、そういう意味では『最後の選択肢』を間違ってしまった世界でもあります。
まあ、古参の型月ファンならばこの世界が『失敗したあれ』というのは理解できるかなーと。同じ方向性でありながら、多種多様性と強さが足りてなかったわけです。
<汎人類史>
まだ明確な定義が明かされていませんが、基本的には『分岐する可能性の溢れた世界』のことです。そのため『滅びる世界』や『完成された世界』は『汎人類史』から除外されてしまう仕組みです。
まあ、いろいろ推測できますが、あっちもこっちもネタバレになるのでカット。
第二部の楽しみが無くなるかもしれないので、自重しましょう。
ただ今回の話で『型月世界』の謎が幾つか解明された感じですね。
まだ分からない部分も多いですが、おそらくは人類史は『――――』なんですね。
そう考えるなら『Fate/EXTRA』シリーズの謎も解ける。
当たっているかは別として、一貫性はありますな。
ネタバレになるので終わり(笑)
まあ、基本的にこの辺りの知識が無くても『FGO』を楽しむことはできるでしょう。あくまでも、もっと楽しめるかもしれない『型月世界の謎』という感じです。
<彷徨海>
『時計塔』
『アトラス院』
『彷徨海』
この三つが『型月世界』の三大魔術組織です。
それぞれ特徴が違うのですが、ここではカット。
『彷徨海』というのは今回がほぼ初登場なので、ファンの間でも情報はほぼ無し。
ので、新規のプレイヤーとそこまで差が出ることもないかと。
どんな魔術師が出てくるのか、小生も楽しみですね。
『FGO』が始まってから『型月知識』がどんどん増えてって楽しい。
その前までは数年に一作ペースでしたからね(爆)
そりゃ課金もしますよ(笑顔)
<第二部 二章に続く>
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