読書記録『イルミナエ・ファイル』 考察(超ネタバレ)

 前回よりもさらにネタバレです。

 なるべく軽めに書きたいですが、どうなることやら(汗)


 まあ、本編が『ハードSF(仮)』ではないので、哲学的に難しい話にはならん。

 たぶん。


 おそらく『構造的なお話』が多くなると思ひます。

 たぶん。


 ネタバレですので、その辺もよろしく。

 絶対。


 では、どうぞ。 

 



――




<事実>


 最初にまず書くべきことは、この作品の内容が『事実である保障が無い』ということです。極論を言えば『最初のメール』と『最後の会話(とメール)』以外は『全て捏造された資料』である可能性すらあります。


 ついでに言えば、『イルミナエの正体』が本当に『その人物』ということも定かではありません。読み終えた方にはそれを『偽装できる人物』にも心当たりがあるでしょう。


 まあ、あくまでも『確定ではない』というだけで、おそらくはそのまま受け取るのが正解かなーとは思います。


 なぜならこの物語は『復讐』だからです。

 そのためには『実際に起きた出来事を突きつける』ことが重要になります。


 ゆえに、この報告書に記載された資料は『ほぼ事実である』と考えるべきでしょう。たぶん。

 

『イルミナエの正体』も確定はできませんが、まあどちらでも同じことです。

 少なくとも『事実』は変わらないと思われます。



<映像要約作成者>


 もっと読み込めば分かるかもしれませんが、いちおう『不明』です。そもそも『イルミナエ・グループ』というのがどんな存在なのか『不明』なので、まったく『関係ない第三者が製作した』という可能性もあります。 

 

 可能性だけならば幾つか考えられますが、『確定』まではいかないかなーと。

 


<パンくず>


 作中で『パンくずを一つ落とした』と書かれていますが、それが具体的に『何だったのか』という言及されていません。


 推測するならば『報告書にも関わらず、読む人間を騙す構造があった』という部分だと思われます。報告書として理解し易いように作るならば『あの部分』は必要ありません。物語としては面白くなりますが。


 そこから『逆算し、真相に辿り着いた』と推測できます。

 


<ミステリー小説>


 主にこの作品のミステリー部分は、


『イルミナエ・グループとは何者なのか?』

『報告書を受け取った人物は誰?』

『事件の全貌が明らかになった後に何が起きるのか?』


 という部分になります。

 それに対する鍵は、


『報告書の謎』


 おそらく読者の疑問がそのまま答えとなります。

 ヒントはあちこちにありますヨ。


 重要なのはこの作品が『報告書』であるということ。まあ、二番目の疑問はちょっと難しいですが、辿り着けないわけではありませんネ。


 そして、それを全て理解することによって、『物語が変化する』わけです。


 このギミックを考えるならば『ミステリー作品としても一流』でしょう。

 恐ろしいです。



<後半部分>


 小説に近い形式になります。

 それも重要。



<三つ巴のスペースオペラ>


 帯に書かれた文章。

 間違った表現ですが、完全には間違っていないという不思議。

 ある意味。


 

<コテコテの展開>


 全体的に『王道』とでも言えるような展開が多いですが、それが良い。

『そうなる』と予測できていても、次から次に物語が展開していくため面白いです。


『王道の強み』ですね。

 


<報告書効果>


 主に利点は、


『展開の速さ(多角的に簡素化できる)』

『描写を少なく出来る(情報のロスが問題にならない)』

『過去の事件であることを強調(現在進行形ではない)』

『分かり易い構造を維持できる(報告書なので)』

『ホラー感の増幅(ゲームなどでも使用される)』


 こんな感じ。

 欠点は、


『一般的な小説(形式)ではない』

『上手く配置しなくては事実の列挙になる』

『キャラクター性の確立が難しい』

『コスト面』


 かなかな。

 もっと考えればいろいろありそうですが、そういうのは偉い人に任せましょう。


 この値段だと日本ではヒットしなさそうなので、最大の欠点は『コスト面』ですかね。個人的にはもっと高くても問題ないぐらいの内容ですけど。



<生存者> 


 不明。

 最後の会話から推測すると、どこかの組織に保護されているのは確実のようです。


 最終的な死亡者リスト(生存者)を用意しないのは、それを隠しているからでしょう。少なくとも『企業に対抗できるだけの力を持つ組織』と推測できます。


 そもそも多くの情報が『一年』は伏せられていた(隠蔽された?)ということですから、その後もいろいろあったということは確実だと思われ。


『組織的な隠蔽』があった可能性もあります。

『口封じ』のためにすでに殺された人間もいるかもしれません。


 作品構造としては仕方がありませんが、この部分はしっかりと書いて欲しかったです。結果的に物語の最終的な背景が曖昧なまま終わってしまいました。


 まあ、続編のために『残された謎』かもしれませんけど。



<イルミナエ・グループ>


 正確には不明ですが、今回ことを画策したのは『彼女たち』であるということは明言されています。他にも仲間がいるのかは不明。


 そもそも今回の計画が『最初から計画されたいたのか』それとも『偶然発生したのか』ということすら分かりません(仕事の契約をしたのは偶然?)。


『隠蔽された事件』をリークするために作られた組織という可能性もあります。

『生存者』と同じように今作では明言されていない部分です。


 

 終わり。

 他にも『対比表現』とか『文字列と絵の視覚効果』とかいろいろありますけど、評論家では無いのでパス。小生でも分かるぐらい様々な技法が使われており、ある意味では『WEB小説の終着点の一つ』と言えるかもしれません。


 たぶん似たような試みはあると思いますが、『商業作品』では滅多にないでしょうね。売れて欲しいけどどうだろうね。


 テレビで取り上げられれば売れそうですけど。

 そんな世の中なのも悲しいような気がしますけど。


 小生の幸福はこれを『自分で見つけたこと』です。

 最大限に楽しむことができました。チャレンジも大事だね。


 最近ではあまり自分で探すことをしなくなったので、『小生レーダー』もかなり錆付いていたのですが、まだ現役のようです。いや、WEB小説ばかり読んでいるせいでもあるのですが(汗)


 でわでわ、これから『剣豪』なのでさようなりー。

 あるいはメンテ。


<SF界にもまだまだ可能性がありますな> 

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