第258話 炎対炎
ドリガは、こんな毛糸のガリアでは竜の退治にはほとんど役に立たないので、ただ単にもっぱら暗殺専門で稼いでいる。表の仕事は、
だが、今回の仕事はちがった。相手はかのカルマのアーリーだ。普段なら回っても来ない相手だが、今回はファーガスたっての指示だった。
「おまえの力が役に立つ」
そう、ファーガスは云った。ドリガは奮い立った。報酬も高いし、メスト筆頭を保証してもらえる。三人でやっても、だ。ドリガは、自分は補佐でよいと考えていた。だから正確には、かつてのヴィーグスのように、筆頭メンバーの下っぱとして仕事が来る。自分のガリアで、この明るさならば、夜でも役に立つだろう。
「よし……うち合わせ通りにやるよ……三人でやれば……きっと勝てる……!」
デクリュースが囁く。その囁きに合わせて、アーリーが自らのガリア「
三人が息を飲む。幅広の剣身はアーリーの身長ほどもあり、
三人ともその威容に呑まれて、思わず半歩、
もう、ここまで来たらやるかしかない!
デクリュースが大鎌のガリア「
「……む!」
ただの粉ではないことは、アーリーも即座に理解する。毒か。麻痺か。幻覚か。アーリーの炎は解毒(浄化)の力もある。ガリアから炎が吹き上がって、炎の壁もさらに高く吹き上がり、銀粉を囲った。が、その炎が風に寸断され、千切れて吹き消えた。デクリュースがさらに鎌を踊るように振りかざすと、次々に銀粉を伴った風が大鎌の穴より吹きつけてアーリーの炎を切り裂いた!
この光る粉は、云うなれば細かい風の刃か。アーリーの炎の壁が、次々に風へ削り取られてゆく。
ついに、壁の正面の炎がかき消えて、アーリーの正面ががら空きとなった。
そこへクレイスが、柄のついた
つまり、その箱のようなものが支点からがっぱりと大口を開き、火を噴きながらアーリーめがけて迫る! これは、云うなれば巨大ペンチだ!
しかも炎対炎!
アーリーに対し、炎の勝負を挑むとは!
「ぬうむ!」
アーリーが斬竜剣を叩きつけた。と、クレイスががっちりと幅広の剣身をそのペンチで受け、捻って押さえつける。体格はアーリーよりはるかに小さいものの、なぜかガリアは凄まじい力で、アーリーは大剣を挟みつけられて押すも引くも動けなくなった。しかも、万力ペンチの口から吹き上がる炎が、渦を巻いてさらに勢いを増す。その炎が斬竜剣の炎と交じり、すさまじい熱が二人を
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