第200話 雷の矢
カンナはがっくりと膝をついた。いや、ガリアがそうさせた。
ガリア、
カンナは気がついた。これは、バルビィのガリアにあった、銃という武器ではないか? カンナが銃(らしいもの)を認識したことにより、ガリアはそれをとらえ、自ら変形したのか。それとも、最初からこのガリアにはこういう武器に変形する力があったのか。それは分からない。だがいまや、右膝を立て、左膝を地面へつけた
では、この巨大な長身銃のようなものは、何を撃ちだすのか? バルビィのように、ガリアの弾丸か?
共鳴が限界を越えた。甲高い音が渦を巻いて銃口めいた二又の剣先のさらに先の空間をゆがめる。二又に別れた剣身の合間の電流がついに
と、大海坊主竜め、あれだけ開けていた口を、バカンと音を立てて閉じてしまった。カンナは思わず引き金を引きそうになるが、その衝動に耐えた。口中を確実に貫かないとおそらくあの竜は倒せないし、鼻面に命中させてアーリーを巻きこむのは避けたい。
アーリーが、カンナの異変に気づいた。アーリーにとっては見たことも無い姿のガリアに、カンナが捕えられているようにも見える。だがそうではない。クモめいた細く漆黒のガリアに黄金の線模様、それが渦を巻いて空間が波を打って、稲妻を内に押さえ、その力の全てを細く伸びた剣身と剣身の合間に凝縮している。
「ぬううあ!!」
アーリー、再び気合をこめ、大海坊主竜の脳天へ突き刺さっているガリアへ炎の圧力をかけた。こちらも凄まじい熱がガリアにこめられ、突き刺さっている部分から煙が吹き上がる。竜の固く厚い鱗と皮膚が燃えだす。
悲鳴のような咆哮をあげ、竜の口がまた開いた。苦しげにのたうち、その舌まで出す。
「いまだ!!」
カンナ、無意識に引き金をひいた。
音が消えた。
至近距離から、光の矢が一瞬で竜をねらった。
歪んだ空間が引き裂かれ、それをまとって光の矢が突き刺さった。
かに見えたが、竜があり得ない角度で膝の関節を曲げ、その場から消えたように見えるほど仰向けに身体を傾け、つまり、なんと、まったく信じられないことに、その光速の矢を完全かつ完璧に回避した!
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