第78話 バグルス迎撃
「よし、行け!!」
「がってえん!!」
マレッティが全速力で駆けだし、アーリーとカンナから離れた。しばらく行くと、まばゆいばかりに光がほとばしる。ガリア「
「初手から全力だ!」
アーリーがその光を手で遮りながら叫んだ。マレッティの身体を幾重にも光の輪が取り囲み、激しく回転する。愚かな猪突竜が角を振りかざしてつっこんだが、顔面から輪切りとなって横倒しに倒れた。見た目は地味な、なんの変哲もない刺突剣が光の輪をまとって、マレッティがそれを振り回すたびに周囲にばらまかれる。それは恐るべき刃となって、次々に襲い来る竜を切り刻んだ。ガリアに反応して、無闇に突進してくる駆逐竜などは、かっこうの獲物だった。血をぶちまけて膾切りとなり、草原へ転がった。二足歩行である山嵐竜の長い脚を一撃で切断し、竜がつんのめって倒れる。それを跳んで避け、マレッティは走った。
「今のうちだ!」
走りながら、アーリーが背中に
「行くぞ、カンナ!」
カンナの返事も待たずに、アーリーが走る速度を上げる。輿にデリナがいるとは思えなかったが、その猪突竜ごと真っ二つにせんと、アーリーの手にガリア「
唸りを上げて斬竜剣が振り下ろされたが、鋼鉄にでもぶち当たったかのごとき感触に弾かれ、アーリーは威力と衝撃がまともに跳ね返ってきて後ろに下がった。
「なに……!!」
見ると、両腕に楯のような大きく堅い甲羅を装備した大柄なバグルスが、その両腕を合わせて防御し、アーリーの前に立ちはだかっていた。それは、アーリーの斬撃を遮断するほどの防御力だった。
斬竜剣の炎をかざして見やると、アーリーの周囲にずらりと様々な大きさ、特徴のバグルスが集合している。全てがそれぞれに独特の攻撃や防御に特化している。オレンジのゆらめく光を浴びて、その白い肌が染まっていた。紅い眼、青白い眼、さらには黄色い眼が光を反射し、にやにやと口元をゆがめて牙をのぞかせている。いっせいに不気味な声で笑いだし、それが輪唱して不思議な音を響かせた。
「しまった……!」
思ったが、遅かった。いっせいにアーリーへ飛びかかる。
「ぬぅああ!!」
流石、アーリー、一体を迎撃で輪切りから火達磨にしたが、背中へ飛びつかれ、また脚や腕に絡みつかれる。人間ではない、ダールであるアーリーの皮膚はバグルスの爪も牙も容易に通さなかったが、たまったものではないのには変わりない。アーリーは斬竜剣を振り回し、まとわりつくバグルスを引き剥がしては投げ、また走りこんでは剣を振り回し、蹴り飛ばしてその場から離れてしまった。アーリーのガルマを感じた駆逐竜もぞろぞろと続く。
「あ……あっ……」
カンナが焦り、その後を追おうとする。
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