第三章――【金太郎】編――

第1部

 次に辿り着く童話世界がどんなものかと考えていたパンドラ達は、到着した瞬間、一気に非情な現実へと引き戻された。

 鈍い光沢を放つ金属で覆われた直方体の空間内にて、トラベラーズダイヤルの中から現れたパンドラの周囲を、金属で出来ているかの様な銀色の鹿、狼、猪といった動物達に囲んでいたのである。

『『「!」』』

 降り立つと同時にフォースバリアをドーム状に展開して防御体勢を取ったパンドラは、直後に周囲を見渡した。

 どう見ても銀で出来た像にしか見えない動物達が、揃って自身に対し明らかに敵意を向けているのをパンドラは感じ取る。

「チッ、もう少し平和的に到着したかったものだな」

 険しい表情でアリスをスペードブレイダー形態で起動し構えると、パンドラは展開していたフォースバリアを解除した。

 次の瞬間、一斉に飛び掛ってきた動物達を、パンドラは容赦なく斬り捨て、斬撃波で斬り飛ばし、止めに必殺を放つ。

「スペードスラッシュ!」

 自身を取り囲む最後の動物達に、回転斬りの要領で放たれたスペードの斬撃が直撃し、まるで連鎖爆撃のように次々と爆散していった。

『ぜ、全員倒したみたいですね・・・・・・』

「一体何だコイツ等は? 銀一色の動物なんぞ見た事無いぞ」

 パンドラは瓦礫となって周囲に散らばる、つい先程まで動いていたソレを一瞥する。

「我々はかの金太郎皇帝陛下が御作りになられた【金属生命体】である。そして我はその一角、メタルグリズリーだ」


―――――蝶々仮面パピヨンマスクのパンドラ 第三章 《金太郎編》―――――


「金属生命体?」

『イヤ、パンドラさん。それよりも今この人・・あ、いや、熊なんですけど・・今金太郎皇帝陛下って!』

「ホウ、つまり我々はその【金太郎の世界】とやらに辿り着いたという訳か」

「遠路はるばるようこそ。やはり客人にはおもてなしをせねば・・・それも蝶々仮面の客人とあれば尚更な!」

「全力で拒否する!」

 爪を研いだメタルグリズリーに対し、再びスペードブレイダーを構えたパンドラは、フォースウィングを羽ばたかせ一気にメタルグリズリーへと斬りかかった。だが・・・

「!?」

 当のメタルグリズリーはパンドラが想定していたよりもずっと俊敏で、まるで森を駆ける風の如く縦横無尽に飛び、パンドラの攻撃をかわすのである。

「チッ!」

「ガァッ!」

 すかさずメタルグリズリーがパンドラの隙を突いて切り裂きにかかるが、それでもパンドラは一切体勢を崩す事無く、スペードブレイダーで迫る両爪を真っ二つに斬り落とした。

「グゥゥッ!」

 そしてメタルグリズリーの動きがそこで一瞬止まった所へ、パンドラはすかさず斬撃波を放ち、両腕を斬り飛ばす。

「グォアァァァァッ!」

「スペードスラッシュ!」

 両腕を失い、膝から崩れ落ちたメタルグリズリーに、間髪入れずパンドラはスペードブレイダーで必殺を叩き込んだ。だが、

「!?」

 突然、空間内に稲妻が走ったかと思うと、次の瞬間、褐色の男が一人パンドラの前に現れ、パンドラが放ったスペードスラッシュを、あろう事か素手で受け止めていたのである。

「何だコイツは!?」

 プラチナボブカットの髪を揺らし、凹凸の激しい細身の身体に金色の派手なアクセサリー類を纏った男は不敵な笑みをパンドラへ向けた。

「こ、皇帝陛下!」

「皇帝・・・・・・」

 その直後、パンドラが気付いた時には、今までに無い衝撃の正拳を鳩尾にくらい、金属の壁を突き破って空中を直線状に吹っ飛ばされると、そのまま彼女の意識はそこでフェードアウトする。



《金太郎編――第2部へ続く――》

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