第百二十六話 もしも

もしも

もしもは、永遠にもしもに過ぎない


◇ ◇ ◇


若い頃のもしもは

年を重ねるうちに得られると思うことへの羨望


もしもお金があったら

もしも才能があったら

もしも彼女、彼氏がいたら


もしもは夢や願いとは違う

得るための努力を要しないからね


得られたものは

こっそりともしもの神棚から降ろされる


だから

もしもはもしものままで永遠に残る


◇ ◇ ◇


年を経てからのもしもは

年を戻せれば得られるのにと思ったことへの後悔


もしももっと若かったら

もしももっと元気だったら

もしももっと違う出会いを選べたら


もしもは反省や総括とは違う

二度と得られないものをただ並べているだけさ


それなのに

埃まみれのまま神棚の上で干からびている


だから

もしもはもしものままで永遠に残る


◇ ◇ ◇


もしも


もしもは、永遠にもしもに過ぎない

それならば、もしもはもしものままで楽しめばいい


ははははは



【 了 】

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