第九十三話 隙間

 隙間だらけの時には隙間はすぐに見つかる

 でも隙間を埋めようと思った時には

 隙間はすでになくなっている


 隙間に置きたいものがあって

 それを隙間に置いてみたら

 欲しかった隙間がなくなってしまった


 隙間の意味なんか考えたことはなかった

 自分が隙間になって

 その意味を考えたくても隙間にはできないんだ


 隙間を埋めてくれる君が

 ただの隙間にしか思えなくなって

 君を失った途端そこに隙間風が吹いた


 在る隙間と

 作る隙間

 そしてできてしまう隙間


 どれも同じ隙間なんだよって顔をしてる

 同じ隙間なんかどこにもないのに

 どの隙間も僕の言うことを聞かないし



【 了 】

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