第十二話 ジョイント

 どこかで繋がっているはずだと、同じ場所をずっとうろうろ探しまわっている。


「繋がっている? 何が?」


 ええと。そうそう、給電線。


「おかしなことを言うのね」


 え、どうして?


「だって、あなたはもう動いているじゃない。パワーソースは電池なんじゃないの?」


 いや……電池じゃないな。たぶん。


「どうしてそれが分かるの?」


 いや、自分が何かに繋がってて、それで動いていたんだ。


「でも、今は何も繋がってないよ? それでもあなたは動いているじゃない?」


 ……。


 そうだ。確かにそうだ。おかしい。

 繋がっていないのに、動いているなんて。どう考えてもおかしい。


 なぜ僕は動けるんだろう?

 何も繋がっていなくても、こうやって動けるんだろう?


 落ち着け。何かが確かに僕に繋がっていた。そして、それは今はない。

 僕はそれがないと生きていけないはずだ。

 だから、こうやってずっと探しているんだ。


 待てよ。僕はずっと『線』を探してた。


 違う。

 線はもうあるんだ。僕は、そいつを繋ぐジョイントを探さないとならない。


「そうそう。そうなの」


 ってかさ。

 さっきからぶつぶつ言ってる君は誰?


「ああ、わたし?」


 うん。


「赤」



【 了 】

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