「知らぬが仏」ってこともあるのさ
こんにちは、埴輪です!
私が「埴輪」なのは「埴輪」が好きだからですが、こう名乗るにあたって、「どこか」あるいは「誰か」から許可を貰っているわけではありません。
それで何の問題もなくこれまで作家として活動を続けてきましたし、恐らく、今後も問題が生じることはないと思いますが、プロデビューの際、「埴輪」という名前に問題があると出版社から指摘されれば、改名もやむなしと覚悟しております。(今も「埴輪」名義で電子書籍を販売しておりますが、「埴輪という名前を使わないでください」との要望を受けたことは、一度もありません!)
――さて先日、都内某所に「とある整体のお店」がオープンしました。
そのお店の名前はゲーマー……特にRPG好き、FF好きな方ならお馴染みの回復魔法と同じ名前で、「すごく回復しそう!」とTwitterで拡散されており、私はそれを知って面白いと思う反面、「ちゃんと許可は取っているのだろうか?」と気になってしまった次第です。(パロディではなく、そのままでしたからね……!)
——ゲームが好きだから、お店の名前をゲームにちなんだものにする。
それはごく自然な発想だと思いますし、お店の名前を決めるに当たっては、もちろん商標調査も行っていると思いますが、Twitterによって(恐らく想定外に)拡散されたことで、お店にとって、また、その魔法が登場するゲームの権利を持っている会社にとって、思いがけない事態に発展してしまうのではないかと危惧しております。
世の中には知る人ぞ知る、幻の珍獣「ツチノコ」のようなお店も少なくないと思いますが、そうしたお店は「それでも」営業を続けているというよりは、「だからこそ」営業を続けることができているのではないかと思います。
ただ、誰もが世界に向けて情報を発信できるようになった今、知る人ぞ知るお店だったからこそ看過されていた個性——某有名アニメのキャラクターがマスコット然としてたり、某音楽著作権協会に無断でCDの曲を流していたり、家庭用ゲーム機を遊べるようにしていたり――が明るみになり、看過できなくなるということが、十分に起こり得るだろうと思います。(旅先など、地方で「商標権はどうなっているのだろう?」と首を傾げたくなる看板と出くわしたことはありませんか?)
それぐらいいじゃないか……と、お店の利用者が思うような些細なことでも、それを「知ってしまった」権利者が看過できないのは、それを一つでも看過してしまうと、「俺も!」「私も!」と便乗する人、お店が絶えないからで、それによって権利者だけでなく、利用者にも被害が及んでしまうからです。(公式だからと利用したお店が、全くの非公式だと分かったら……気持ちの良いものではありませんよね?)
――知らぬが仏。
世の中には、知らなければそのままでいられたということや、知ってしまったが故にそのままではいられなくなってしまったということが、いくらでもあります。
お店をやっている以上、知られること、拡散されることは覚悟すべきだという意見もあるかと思いますが、お店を地元の人に知って欲しいという思いと、世界中の人に知って欲しいという思いには大きな違いがあり、たとえば、地元の日本人を相手にするなら日本語で事が足りますが、お店がSNSによって海外に知れ渡り、多数の外国人が押し寄せてきたら……十分な対応ができるはずもありません。
そんなことありえない……ということが起こり得るのが世の中であり、それを助長しているのがネットであることを考えると、良かれと思っての拡散はもちろん、興味本位の拡散はなおさら、その影響を考慮する必要があるのではないかと思います。
私は作家なので、作品の拡散は大歓迎ですが、いざそうなった際の反響や、想定外のご意見に関しては、覚悟しておく必要があると思っております。
今回取り上げた整体のお店は、店内でゲームの音楽を流していたり、関連したキャラクターのぬいぐるみを置いていたり、施術の名称が回復魔法だったりと、一つ一つは微笑ましい限りなのですが、それをTwitterで報告していることも含め、ほどほどに自重して、誰もが笑顔でいられる状態が長く続いて欲しいなと、切に願います!
——ところで。
カクヨムでは様々な作品が公開されておりますが、「誰も読まないだろう」と好き放題に書いた作品が拡散されてしまうことも十分に起こり得ますし、だからこそ、それを狙って過激なタイトルや内容にしている方もいらっしゃると思いますが、それが本当に拡散されてしまった時の覚悟も、ちゃんとしておくべきだろうと思います!
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