18日目 ~短編小説の難しさ~

こんばんは、埴輪です!


本日、新作短編小説の調整を行い、規定枚数に収めることができました!


まだ「あらすじ」の執筆や、全体の見直しも残っていますが、ここまで来ればもう一安心……と言っても、まぁ、過言ではないと思います!(歯切れが悪い)


そこで今回は「短編小説の難しさ」について、ちょっと書いてみようかと!


まず、「短編小説ってどれぐらいのボリュームなの?」ということで、「電撃大賞」の応募規定から抜粋すると……


ワープロ原稿の場合 15~30枚。 縦書き。

※1ページ=42文字×34行


……というわけで、文字数に換算すると21420~42840文字になります。


ただ、これは1ページにびっしり書き込むことを想定した文字数なので、実際はもっと少なくなります。(ちなみに、私の応募作は30枚で30234文字でした!)


でもって。


これだけ見ると文字数が少なくて楽そうですし、実際、長編小説より執筆にかかる時間は極めて短く済みます。(構想などの準備期間も含めて)


ただ、物語を約3万文字で表現するというのは、中々に難しいものです。

では何が難しいのか……一つ挙げるとするならば、それは「台詞」だと思います!


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 大きく膨らんだボストンバッグを肩に提げた途端、希美はよろめいた。そして、鏡に映った自分の姿を見て、制服のままだったことに気づく。着替えた方がいいかな……とも思ったが、家出という大事の前では服装など小事だと思い直す。それに、このまま部屋に留まると決意が揺らいでしまいそうだった。二度と戻ってこない……そう、決めたはずなのに。(161文字)

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「希美」

「うぇっ?」

 勇に呼びかけられ、希美はスマホから顔を上げた。勇は大きな欠伸を一つ。

「眠いから、ちょっと寝る」

「あ、うん……おやすみなさい」(72文字)

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……上記はいずれも『ラノベ作家を夢見る中三女子が異世界転移モノを書かないと決めた理由』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880976171)からの抜粋ですが、両方とも同じ5行にも関わらず、文字数は倍の違いがあります。


つまり、台詞が多ければ多いほど、描写に使える文字数が減るということです!


そのため、台詞を一つ入れる、入れないという取捨選択は非常に重要であり、短編小説はまさに台詞との戦いと言っても過言ではないと思います!


その一方で、台詞の有無が作品全体に影響を与えるというスリリングな状況は、そのまま短編小説を書くことの楽しみでもあり、ひいては、読むことまで含めた短編小説全体の面白さではないかと思います!


長編小説以上に、台詞や文章の一つ一つに意味や想いがあって、それを仕込んでいくこと、また、読み解いていくことが、短編小説の醍醐味ではないかと!


一つの言葉を加える、削る、変える……それだけでガラッと印象が変わるのは、「ドット絵」や「盆栽」、「マインクラフト」にも似ていて……ともかく、どんどん突き詰めていくという面白さがあると思います!


ただ、突き詰めれば必ず良くなるという保証がないのもまた難しくも面白いところで、突き詰め過ぎると言葉足らずで読者に伝わらないのも短編小説であり、その加減を見極めるのも、また難しくも面白いところだと思います!


こう考えると、短編小説というものは長編小説と根本的に異なるもので、単に文字数が少なくて済むから楽という発想で挑戦すると、痛い目に合うと思います!


……まぁ、何を隠そう、私もそうでしたけどね!


ただ、今では短編小説を書く面白さ、読む面白さも分かってきたような気がしますし、今の世の中、短編小説というサイズが丁度良いのではないかというのは、近況ノートで以前にも述べたように思います。


逆に、長編はどこまでも、終わることなく連載していくことに価値があるような気もしていて、二極化していくのでなかろうかと考えたり。(コンテストの主流は長編小説ですが、いざデビューが決まれば巻を重ねていく可能性もありますし、厳密な意味での長編小説は、一般文芸として生き残っていくような気がします)


ともあれ、短編小説は難しいだけでなく楽しくもありますので、これまで長編小説しか書いたことがないという人も、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?


文字数は異なりますが、カクヨムでも短編小説のコンテストが始まりますしね!

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