重ねる
重ねた手の数だけ 出来ることが増える
重ねた言葉の数だけ 諍いを減らせる
重ねた手間の数だけ 納得に近付ける
重ねた年の数だけ 酸甘が分かる
重ねた失敗の数だけ 人の失敗を許せる
重ねた喜びの数だけ 一緒に喜べる
重ねた悲しみの数だけ 芯が強くなる
重ねた唇に 愛を感じ
重ねた肌に 愛を通わせ
重ねた掌に 愛を語らせる
人は
重ねることでしか生きていけない
力を
愛を
そして
生命を
「ルイ」
「なあに? おばあちゃん」
「よくお聞き」
「うん」
「パイ生地はね。焼かないと、重なっていることが分かんないんだよ」
「そうだね」
「人生もそうさ。冷たいままじゃ、重なってることなんか分かんないよ」
「ふうん」
「だからね。人を愛しなさい。好きになりなさい。誰かと生き方を重ねなさい。そうして、あんたがうんと熱くなれれば」
「うん」
「きっと、おいしいさくさくのパイが食べられるよ」
「はあい!」
【おしまい】
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