12話:不死者狩り
不死者狩り1
リベルが半年程で天界から帰ってくることもわかったので、私も一度冥界に帰ることにします。現世に来てから大体半年ぐらい経っているので随分久しぶりに感じますね。ちなみに天界にいた時間はだいたい五分ほどでした。体感時間は一か月ちょっとだったのですが、図書館の外ではそれぐらいしか経っていなかったようです。
一度現世の村を経由して、村長さんに挨拶して、冥界に帰りました。村で一回家に拠ろうと思ったけど、既に家は冥界に帰っていて、家があった場所は空き地になっていました。
冥界に帰るために肉体を霊体に戻し、魂だけになる。冥界には肉体を持っていては入れないですし。思い返してみると、リベルの魂だけの状態から肉体を再生する能力って、死神が現世に来るときに半霊体の肉体を生成する能力と同じような感じだろうか。もっとも、リベルは半霊体ではなく、完全な肉体を再生させているのだが。
現世から冥界に個人で行く方法は基本的に一つしかない。冥界と現世を往復している死神運営の馬車に乗るのだ。乗り場はどこでもよく、乗りたいときは死神が停留所マーカーを設置して馬車が来るのを待つだけ。大体マーカーを設置してから三十分ほどで馬車が到着し、揺られること一時間程、馬車を降りると冥界の死神組織の本部前になる。
「帰ってきたのはいいけど、帰って来いって言われてたのに勝手に天界に行ったりしたの怒られるんだろうなぁ」そんな呟きが漏れるくらいに気が重い。上司の人はリベルを監視する任務を言い渡されたときしか会ったことがないので、どういう人かはわからない。
報告をしなければならないため、上司の部屋に向かうのだが、迷った。そもそも死神組織の本部に入るのも二回目で前回は半年前、道を聞こうと周りを見渡しても誰もいない。
ていうか、ちょっと前まで天界の大図書館でも迷っていたというのに、また迷うのか。迷っている状態というのは結構精神的に疲れるのだ。それも肉体のない霊体の場合、肉体が疲労するのとあまり変わらない感覚で疲れる。
「おや、そこに座り込んでいるのはテロリカちゃんじゃないかい?」
「あ、先生」
座って休んでいる私に話しかけてきた老婆、私以外の死神はだいたい老人の姿をしているのだが、彼女は私が死神学校でお世話になった先生だ。
「先生はよしてくれよ、もう私はあなたの先生じゃないのだからね」
「卒業しても先生は先生ですよ」
実際、彼女は死神としての経歴がとても長い。本来は二百年死神として活動したら定年となり、通常の死者と同じように、転生することになっているのだが、なぜか彼女は死神学校で教師などをしている。
「それじゃあ先生でも構わないけど、テロリカちゃんはなんでこんなところに座っているんだい?」
「それが、実は迷ってしまって」
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