10話:天界

天界1

 私はまだ、リベルを殺すことを諦めていない、それはわかりました。しかし、天界へ行ってしまったリベルを追いかける術が私にあるでしょうか。

 そういえばありました。昨日、トラトに貰った天命の契約書、これを使えばトラトは天界へ連れていってくれると言っていました。

 天界へ行く方法は確認できましたが、ノコノコと天界へ行って、リベルティ他のリベルの周りで働いている上位神族達が、おとなしくリベルが殺されるのを眺めているとも想いません。リベルが天界へ行ってしまった今となっては急ぐ必要もありませんし、じっくり時間をかけて、完璧な作戦を考えて、リベルを現世に連れて帰ってくる方法を考えてから天界へ行くことにしましょう。

 今、リベルは天界で仕事に囚われているのでしょう。リベルティ達がリベルを開放する条件として言っていたのは、今貯まっている仕事が終わること、人手を増やし、リベル無しでも滞りなく仕事が進むようにすること、でしたか。

 確かそれには最低でも四千年かかるそうで、私ではリベルの仕事が終わるまでの間に定年を迎えてしまいます。死神の定年は人間としての魂が歪んでしまうギリギリの二百年。どうあがいてもこれは伸びない。なので、このまま待っていたのでは、私はもう二度と、リベルに会うことはできません。会えないのであれば、リベルを殺すことなど到底叶いません。

「テロリカさん、突然黙り込んでしまったと思ったら、難しい顔をして、どうかしましたか?」

 心配した村長さんが話しかけてくる。

「心配要りませんよ、私はリベルが居なくなってしまった今も、リベルを殺すことしか考えていませんから」

「そうですか」と相変わらず心配そうに言ってくる村長さんにお礼を言い、私は村長さんの屋敷を後にした。

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