原初神族7

 時間もないので、時間を圧縮して、一時間を一年にまで引き延ばすことができる魔法のスクロールを使います。引き延ばす倍率も結構自在で、これ便利ですね。今までも使えばよかった。

 まずは、今までのリベル殺害記録から効果的な殺し方の傾向を考えていきましょう。今までも適当に殺していたわけではなく、きちんと記録をとっていたのです。

 物理攻撃は痛みは与えられるものの、肉体を丸ごと消滅させたとしても、魂が残っていれば、肉体を再構築させてしまうので、あまり効果はありませんね。あと、肉体が再生するのにかかる時間は、精神的に疲弊していると長くなるようです。

 精神力を削り取り、肉体を消滅させる。そして肉体が復活する前に、無理矢理というものですが、魂だけの状態で冥界へ連れていく、冥界へ連れていきさえすれば、肉体は復活できないでしょうし、肉体を持ったままの神族の人はこれません。

 これしかないでしょうね、問題はどうやって精神力を削り取り、肉体を消滅させるかですね。現世から冥界へ帰るまでの時間、おおよそ一時間、その間復活させないようにするには、魔界に連れて行くよりもより強い精神ダメージを与える必要がありそうですね。

 今までにリベルが大きな精神ダメージを受けたことを思い返すと、あれですね、高所と、魔界の空気、あとは私の作ったスープ。これを同時に与えれば、一時間くらいは稼げそうです。

 しかし、魔界の空気なんて用意できませんよ、どうしましょうかね。

 代用できるものがないかと、資料をめくる。いいものがありますね「空気缶~魔界の空気編」。かつて、異界との境界が今よりもあやふやだった時代の遺物らしく、あらゆる異界を旅した魔人があらゆる場所の空気を缶詰にしたらしいです。

 開けてしまえばそれまでのようですが、密閉した容器の中で開けて、スープに混ぜ込みます。それならば効果はあるでしょう。


 一通り用意をして、リベルを探します。

 とりあえず、村の人たちに挨拶をしていくと言っていたので、おそらくは村長のところでしょう。準備を始めてから一時間も経っていないですし、まだそこにいるはずです。

 私が村長のところに着くと、ちょうどリベルは村長の屋敷から出てくるところでした。

「リベル!」

 私に声を掛けられ、リベルはこちらを振り向く。近づいてくるリベル。

 

 私の意識はそこで途切れた。

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