魔界5

 無事、魂の所有者を変える契約も済んだことだし、リベルを連れて、魔界名所巡りでもしましょうか。通称「自殺志願ツアーコース」です。意外なことに悪魔の人は心を病んで自殺してしまう人が多いらしいです、そのため、こうして自殺に向いたスポットを名所として紹介しているということらしいです。正直意味が分かりません。

「悪魔は長命だし、体も丈夫だからね。自分の死に場所死に時死に方は自分で決める。それが悪魔の死に方さ」

「変わってるんですね」

「なにも変なことはない、リベルと同じようなことをしているだけさ。そいつと違って私たち悪魔はちゃんと死ねるけどね」

「そ、そんなことより……、早くやることやって現世に戻らないか……。死なない程度に、苦しい……、死ぬほど辛い……」

 死なない程度に苦しいのが死ぬほどつらいってホントわけわかりませんね。

「じゃあ、ちゃっちゃと回りましょ」

「そうね、まず最初の名所、「溶魂炉ようこんろ」。ここは魂まで溶かす魔界の炎に焼かれることができる炉ね。即転生ができるってことで人気のスポットよ」

「これじゃ魂回収できないじゃないですか。却下です」

「そう?じゃあ次、「魔界植物園」。ここはありとあらゆる魔界の食人植物が飼育されている植物園で、足を踏み入れて帰ってきた者はいないわ」

「それ、ホントに飼育されてるんですか?」

「さぁ?入ったことないしわからないわ」

「そうですか。ではリベル。帰ってこれたら感想聞かせてくださいね」

「ああ……帰ってこれたらね……」

 なかなか死にそうな顔をしている。死ねるだろうか。

 時間もかかりそうなので、私たちはアクシーさんの小屋へ戻った。

 

「ただいま……」

 生ける屍になったんじゃないかと思うような重い足取りでリベルは帰ってきた。リベルが魔界植物園に入っておおよそ二日ほど経過している。

「魔界植物園……、あんなものは焼き払ってしまった方がいい……」

 そう言ってリベルは気絶した。そういえばワームポッド、あれも魔界の植物でしたね。きっと飼育されていたワームポッドにも落ちたことでしょう。他にも資料に載っていた魔界植物はエグイ物ばかりなので、精神力を根こそぎえぐり取られたのでしょうね。

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