6話:異界

魔界1

「で、リベルはいつになったら殺せるわけ?」

「さぁ、いつでしょうねぇ。いろいろな殺し方を試してはいるんですけど、簡単に再生されちゃって、全然殺せる気配ないですね」

 今日はアクシーさんが遊びに来ている。契約書が再生してしまった事件以降、彼女はちょくちょく遊びに来るようになりました。

「そういえば、最近はよく遊びに来ますけど、悪魔って暇なんですか?」

「悪魔は暇じゃないわ。ただ、私はあのいつまでたっても死なないナミウズムシみたいな男のせいでなーんにもやることがないのよ」

「リベルと契約しているから?」

「そうなのよ。あいつとの契約が終わらない限り、私は新しい契約者を探しに行くこともできやしない」

悪魔って同時に複数の人間と契約できないのかな?

「悪魔の契約ってあんまり詳しくないですけど、どういう仕組みになってるんです?」

「契約の仕組みね、例えば、悪魔を召還しようとしてる人がいるじゃない?召還する時に書かれている陣や、望み事に対して契約をとることができそうな悪魔が召還に応じるの。私なんかは「救済」の悪魔だから、失敗したことを取り消したいとかそういう願いに応じて召還されるわけ」

 それで死を撤回したいリベルの召還に応じたわけですか。

「それで、だいたいの悪魔は契約が取れるんだけど、この仕組みだと結構契約が取れる悪魔って偏っちゃうのよね」

「悪魔個人個人でできる契約が違うから?」

「そう、だからある程度は平等にチャンスが回ってくるように契約者の魂の質や契約の内容によって、同時に契約できる数が変わってくるんだけど、あいつの魂は特上すぎて、ただでさえ枠を沢山消費するのに、死をなかったことにする契約なもんだから、私が持ってる枠全部埋めちゃうのよ!ほんとやんなっちゃうわ」

「大変ですねぇ」

「普通、死をなかったことにする契約は大変なんだけど、わざわざそんな契約をしに来るぐらい死の危険が多い奴なんかは分割で魂を頂いてもすぐに全部回収できるぐらい死ぬんだけど、リベルは全く死なないのよ。もう契約してもうすぐ二万七千年よ?こんなに死なないのになんで死をなかったことにする契約なんか結ぶのよ!まったく!普通の失敗をなかったことにする契約なら枠も空いて他の契約者を穫れたっていうのに…………」

 つまり二万七千年もの間、暇してるってことですよね。

「契約者を自分で殺すっていうのは私たち悪魔の規約に反しちゃうしさぁ、ほんとどうしろってのよ、もぉほんとにさぁ」

 アクシーさんも厄介な相手と契約してしまったものです。

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