悪魔4

 表示された文字を覗き込む、が読めない。

 この文字は現世で使用されているものでも、冥界で使用されている物でもない。文字というよりも記号の羅列にしか見えない。

「なにこれ?」

「これは、魔界語だな」

「読めるの?」

「一応、召還する際に勉強したからな」

 意外、でもないのか。

「えーと、悪魔の名前は『アナクフィスィ』、歳は三万七千五百二歳、性別は女」

 彼って言っちゃったけど、女だったのか。

「趣味は手芸、肉体的に弱い場所は首筋?なんだこれ。テロリカ、なにかこの魔導具、変じゃないか?」

「なにやらおかしな情報がいろいろと混ざっていますね。何なんでしょうか」他にも好きな食べ物や、異性のタイプまで様々な、でも何やら偏っているような情報が出てきます。

「人の個人情報を物色しないでくれます?」

 おっと、突然話に入ってきたこの人は誰でしょう。女性で御年三万七千五百二歳のアナクフィスィさんですかね?

「そう、私が救済の悪魔アナクフィスィよ。呼びにくければ気軽にアクスィと呼んでもいいわ」

「そうですか、アクシーさん」

「アクスィよ、ア、ク、ス、ィ」

「アクシーさん」

「もうそれでいいわ」

「で、アクシーさんは何しに来たんですか?」都合はいいんだけど、このタイミングで来るのは何かあったんだろう。デモンズーヘァが表示したデータと何か関係があるのだろうか。

「その魔導具はね、悪魔の婚活プロフィールを生成するためのものなのよ。ただ、契約している人間からも悪魔のプロフィールが読み取れるもんだから、現世で悪魔払いの道具として重宝されたって歴史があるの。ひどいもんよ、それを使って名を暴かれたらいろいろ暴かれちゃうからね、エクソシスト共がそれを使って精神攻撃を仕掛けてくるのよ。だからそれを使って自分の情報が引き出されると、使われた場所がわかるようになってるの」

「へぇ、そうなんですか。手芸が趣味のアクシーさん」

「そういうのやめてくれる?」

 召還する手間が省けたし、そろそろ本題に入るとしましょう。

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