遭遇2

 この村に私が住むかどうかは置いといて、情報収集を続けましょう。

「ところで、不死者リベルってどういう人なんですか?」

「リベルさんはいい人ですよ、農作業も彼が来てからとても楽になりました。魔物が出た時も、身を挺して村を守ってくれるんですよ。如何せん不死者がいる村ですから、村の生活が良くなっても村に人が増えるということはないですけどね」

 いい人っぽい。そういうの聞いちゃうと殺すのに躊躇いが出ちゃう気がする、ちゃんと躊躇わずに殺せるかな。

「そんな村にとって大事な人を殺すって言ってる死神を村に住まわせてもいいんですか?殺しちゃったら村の生活が苦しくなったりしないんですか?」

「構いませんよ、彼も死ぬことを望んでいますから。もし彼がいなくなっても、暫くは彼の恩恵も残りますし、その間に対策を考えればよいことです」

 やっぱり、この村長さんは大物のようですね。

「それに、彼が殺されるのは暫く先のことになりそうですからね」

「私では殺せないと?」外見が幼いからと、舐められているのですかね。確かに通常の死神は老人の姿が多い中、私は少女の姿。以前に別の死神がいて、死神の姿を見ることができるというのであれば、他の死神の姿を何度も目にしているのでしょう。

「これでも私はエリート死神のみが任命される不死者狩りなのですよ?」何かの間違いだと自分でも思うのですが。

 馬鹿にされている気がして意地を張ってしまう。

「いえ、テロリカさんを馬鹿にしているわけではありませんが、彼はそれ程までに死なないのです。今まで何度もバラバラにされたり、埋められたり、燃やされたりしたリベルさんを見ましたがどんな状態からでも見事に復活してましたから」

 そんなに優れた不死特性を持っているなんて、資料には何も書いてなかったはず……?

 見直してみたらこれ、一枚目は不死者リベルに関した記述、二枚目以降は使用を許可される道具の詳細、だと思っていたのだが一枚目の裏に追記がある。

『不死者リベルはありとあらゆる不死特性を持ち、現状では完全に殺す方法が見つかっていないため、動向を監視するために、監視役を『不死者狩り』の研修も兼ねて一人、新人をつけることになった。リベルを殺す方法を模索しながら、不死者を殺す練習をすること。それが君に与えられた任務だ。万が一リベルを殺せた暁には特別報酬を用意しているので、張り切って殺すように 以上』

 そもそも期待されていなかった、ということみたいです。

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