DIVE to DEEP

誉寛

第1話 このままで?

「ねぇ、ロボコップってしってる?」


「はぁ?何それ??漫画か何か?」


「あたしも噂でしか聞いた事ないけど、

日本で試験的に発足?とかって…

ヤバくない(笑)」


「イケメンだったりして(笑)」


………1年後


新都市のラーメン屋 一龍

「コラー!大牙‼︎またゲーセンかい!」

投げられた鍋と共に飛び出した。

「ウルセーな!ババァ!仕事だ仕事!」

と小銭を指で弾きながら叫ぶ。

「ゲーセン行ってる暇があるなら店手伝

いな!」

腕を組みながら店前で仁王立ちしている

いつも大体こんな朝を迎えている。

「女将さん、大牙くんは相変わらず元気

ですね。」

ニコニコしながら店に入って行く

常連客に見られてしまった。

「あらやだわー、真島さん…朝から嫌な

もの見せたわね〜。」

顔を赤くしながら話す。

「いえいえ、もう慣れましたから」

苦笑いをしながら社交辞令のように頭を下げメニューを眺める

「ラーメンと餃子を下さい。」


商店街を足早に歩きアーケード入口すぐ

ここは近所のゲームセンター、行きつけの場所だ。

仕事を辞めてもう1年になる。

ここのゲームセンターは小学生くらいから通っていてかなりの常連と言ってもいいだろう。

「あれ?大牙ちゃん、今日も早いね」

爽やかな笑顔で店のマスターが朝の掃除をしながら出て来た。

「あんな息苦しい家に居られないよ!」

格闘ゲームの台でうなだれる。

「まぁまぁ、大牙ちゃんの事を心配して

くれてるんだよきっと。

そうだ!新しいガンシューティングが

入ったんだよ。

一回だけサービスでやらせてあげるか ら機嫌なおしな。(笑)」

ここのゲームセンターは古い店だがマスターのセンスがいいのか最新ゲームなど

しっかり入ってるから素晴らしい。

「マジで!やるやる‼︎」


最近はこんな毎日を繰り返しているような気がする。

小中高と平々凡々な学生生活のち地元の印刷会社に就職して4年が経ち、何気なくこのままでいいのか?などと思い、後先考えずに仕事を辞めたのが去年の春…親の猛反対などもあったが強行して決めた。

結局は今もずっとこのままでいいのか?

と自分に問いかける日々を送っている。

「よし、ラストステージ❗️」

頭の片隅でフラフラ考えているうちにゲームはラストステージへ突入した。

「大牙ちゃん❗️すごいね❗️❗️このゲーム初めてなのにクリア出来そうだね❗️」

驚きの表情で掃除を終えたマスターが様子を見に来た。

「大牙ちゃん、ガンシューティングだけは得意だよね〜。才能かもよ」

納得したかのように頷きながら画面を覗き込むとほぼ同時にマスターが叫ぶ。

「大牙ちゃん❗️❗️これハイスコア出てるじゃない❗️❗️」

さすがのマスターも驚き細い目がまん丸に見開いている。

「そりゃ、やるからにはとことん❗️」

ハンドガンを構え軽く舌を出しなが撃ち続ける。

マスターが驚くのは無理ない。

このガンシューティングゲームは従来のものより大きな違いがあった…

オンライン型なのだ。

ストーリーはプレーヤーが政府軍の特殊部隊となりテロ組織とドンパチやるゲームである。

据え置き型の家庭用ゲーム機にあるような対戦形式とかではなく、単純にストーリーをクリアしていく内容となっている。

では何処がオンラインかというと、世界中のプレーヤーとそのスコアポイントを競い合うという簡単なシステムなのだが、ネックな部分はスコアの上げ方が非常に難しい。

ただ単純に打って倒していくだけなら誰にでも出来るが、銃弾のヒットした場所でスコアアップポイントが違うのである。

いかに致命傷を与えたかによる判定が物の言う少しマニアックな要素がある。

そしてマスターがビックリした理由として、このガンシューティングの日本リリースが本日。

時差とも言うべきか、海外のリリースが日本時間で言う昨日なのである。

しかも、出したハイスコアに驚愕した。

「大牙ちゃん❗️2位との差…100万ある

よ。」

その時、ピコンピコンと音が鳴り出した。

「クソっ❗️まだ少し慣れないな。」

舌打ちをしながら撃ち続ける。

ピーという心電図のような映像が現れ終了を迎えた。

「なんだよ❗️あと少しだったのに❗️

最後のテロリーダー卑怯だよ❗️」

と文句を言いつつマスターを見る。

「でも、大牙ちゃんが1番❗️ハイスコア

だよ。しかも、クリアまでもう少しだ

からコンティニューしたら?」

勿体無いからともう1回サービスでコンティニューしてくれそうなマスターの手を掴むと

「1回で行かないと、人生に2度目が無い

ことと一緒です。」

胸をはって言い切る

「何?カッコ良くないからね」

真顔で鮮やかにツッコミを入れられ

「ところで、ガンシューティングがなんでそんなに上手なの?」

ずっと気になっていた事をやっと聞けたような顔で質問された。

「なんていうのかな…?距離感っていうの?なんとなくだけどわかるっていうか〜…よくわかんない。」

マスターが拍子抜けした顔でため息をついた。

「大牙ちゃん、まったく答えになってないし…。」

今日はなんだか目も疲れたしこのくらいで帰ることにしよう。

「マスター、また来るね!」

笑顔で手を振るマスターに笑顔で返し、

帰宅する事にした。

















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