第14話 理想(アイディール)
竹内はレイピアを右肩に担ぎながら話し始めた。
「始めに言うが、俺たちの組織は
5人の男達に
それもそのはず、クリエイターは世界の中でも希少な存在。そのクリエイターだけの世界と言う事は他の人間はどうするのかと考えたからだ。
「あ? いやもちろん旧人類のやつらは皆殺しにはしねぇぜ? でも無能な奴は切り捨てだな。有能な奴は使ってやるけどな」
そう言うと竹内はどこか遠くを見ながら再び語り始めた。
「正直な、もううんざりしてんだよ。俺はこれでも元プロでやってきた。でもいい成績が残せなければ用済みだ。で、それを決めるのは旧人類の奴らだ。あいつらに俺らクリエイターの何が分かるんだ? たかが守られる存在がよ。あいつらは俺らに何をしてくれんだ? 何にもできないくせに言う事だけはでかくてもう我慢の限界だ。クリエイターが誕生して70年も経つ。そろそろ整理する時だろ。人口も増え過ぎだ。無能の多い世界はいつか破滅する。だから俺たち
話し終わると、倒れている男が声を出した。脚をレイピアで刺されたが何とか声を出す程度には回復したようであった。
「お前ら、そんな
男は竹内の戦闘力には屈したが、考え方は認めるわけにもいかなかった。この考えを認めてしまえば、世界はどうなってしまうのか。男はそれがとても恐ろしかった。
自分もクリエイターだからその意見に賛成すべきか否か、多少の迷いが生じていたのだ。この考えは極論だが、クリエイターが酷使されているのは事実として存在する。だからこそ、自分もその事に思うところがある男の心は揺らいでいた。
「正義だと? お前らにとっての正義っては
竹内ははっきりとそう告げる。男の方もこれ以上は反論ができないのかあるいは認めてしまったのか、下をうつむいて黙ってしまった。
「そういうことだ、これからはクリエイターの世界が来る。お前達も乗り換えるなら早くした方がいいぜ」
竹内がそういった瞬間、目の前でうつむいていた男がCVAをもって突撃した。
話している間ずっと
「バレバレなんだよ」
次の瞬間……。
突撃した男の右腕が空中に舞い上がった。レイピアを右腕に連続で突き刺し、その穴を繋げるようにレイピアを横に
切断された事に気づいた男は痛みで声を上げる。周りに血が溜まっていく。致死量とまではいかないが、かなりの量を失血し男はその場に倒れ込んだ。すでに意識はないようだった。
「は〜〜〜あ、やっちまった。まぁいいか。いい見せしめになったしな」
周りにいた人質とクリエイターたちは青ざめていた。中には涙を流す者もいた。この空間は圧倒的な恐怖に支配されたいた。
一方、竹内と残りの部下と思われる人物達は顔色を全く変えずにいた。彼らにはこの程度の事はなんでもないといったようにも見えた。
「さてと、じゃあ本命をやりますか。おーい、10階にいる二人降りてこいよ!! いつまでも見てるだけじゃ楽しくないだろ?」
竹内は上を向いて声を張り上げた。
「気づかれていたのか。くそッ、ろくに作戦も練れなかった。相手の話しに集中しすぎたか」
歩は後悔しても遅いと分かっているが、そう言わずにはいられなかった。
「いいわ、七条君。相手が来いといっているのなら行きましょう。有栖川家の一員として彼らのすることは見過ごせないわ」
歩を通じて、先ほどの下の会話を聞いた華澄はそう言うとCVAを展開させた。
「だね。とりあえず、有栖川さんはあのリーダー格の男を相手しといて。後で加勢するよ。残りの奴は俺が全部始末する」
「
「ならこっちも
「えぇ、じゃあいくわよ歩」
二人はそのまま10階から1階へと飛び降りていく。二人とも脚を強化しており、着地してもダメージがないようにしていた。
そして、歩と華澄は20人の相手と向き合う。
「やっときたか、じゃあ俺は後ろで見てるからお前ら頼んだぞ」
「「はいッ!!」」
竹内の部下19人がそう言うと一斉にCVAを展開する。
(全員、近接系のCVAか。ユニーク系はなし。あとはVAが問題だけど、華澄と俺のVAがあればなんとかなるだろう。でも油断はせず、臨機応変に戦っていこう)
「相手が気をきかせてくれたみたいだね。じゃあ、いこうか華澄」
「ええ、この戦いは負けられないわ」
こうして、
2120年6月、特殊組織、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます